刑の量定に関する事項については、記録上これを認むべき証拠あるをもつて足り、判決に証拠を掲げてこれを説明するを要しない。
刑の量定に関する事項と証拠説明の要否
刑訴法317条
判旨
刑の量定に関する事項は、訴訟記録上これを認めるべき証拠があれば足り、判決書において証拠を掲げて具体的に説明することを要しない。
問題の所在(論点)
刑の量定に関する事項について、判決書において証拠を掲げて説明する必要があるか、および量刑の基礎となる事実の認定方法が問題となった。
規範
刑の量定に影響を及ぼすべき情状に関する事項については、訴訟記録上これを確認できる証拠が存在すれば十分であり、刑事訴訟法上、判決において個別の証拠を摘示して詳細に説明することまでは求められない。
重要事実
被告人が控訴した原審において、裁判所は控訴趣意書の提出期間内に国選弁護人を選任し、弁護人は期間内に趣意書を提出した。原判決はこれに対して判断を示したが、上告人は、原審における弁護権の制限や、刑の量定に関する説示に証拠の裏付けがなく憲法・判例に違反すると主張して上告した。
あてはめ
原判決における刑の量定に関する説示は、第一審判決が確定した事実に照らして当然に推論できる事柄である。量刑情状は訴訟記録上の証拠によって認められれば足りるため、判決書において個別に証拠を挙げて説明しなかったとしても、証拠に基づかない認定とはいえず、違法ではない。
結論
刑の量定に関する事項は記録上の証拠で足りるため、判決に証拠の摘示がないことを理由とする憲法違反等の主張は採用できず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑事情(一般情状等)の認定において、厳格な証明や判決書への詳細な証拠摘示がどこまで必要かという文脈で活用できる。実務上、犯情事実に比して一般情状については、判決書の記載が簡略であっても直ちに違法とはならないとする根拠となり得る。
事件番号: 昭和26(あ)811 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が量刑不当の主張にすぎない場合は、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その趣旨を精査したところ、憲法判断を求める形式をとりつつも、その実質的な内容は刑の量定が重すぎる…