原判決が憲法第三一條に違反すると主張するけれどもその内容が原判決のした刑法乃至刑罰法規の解釋適用を誤つていると主張するか、又は、原判決の前提となつた第二審判決の事實認定證據判斷を非難するに歸し實質においては憲法違反を理由とするものでないときは刑訴應急措置法第一七條に規定する再上告適法の理由とならない。
違憲第三一條を主張するだけで實質上憲法違反を理由としない再上告理由
憲法31條,刑訴應急措置法17條
判旨
憲法37条2項は、供述録取書を証拠とする際に被告人に反対尋問の機会を十分に与えることを求めるものであり、公判廷において供述者を尋問する機会が与えられれば、当該書類を証拠とすることは同条に違反しない。
問題の所在(論点)
被告人に反対尋問の機会を与えないまま作成された供述録取書等を証拠とすることが、憲法37条2項(証人尋問権・対質権)に違反するか。また、相被告人の請求により証人尋問が行われた場合に「被告人に反対尋問の機会が与えられた」といえるか。
規範
憲法37条2項は、裁判所が喚問した証人等につき、被告人に対して反対尋問の機会を十分に与えなければならないことを規定するものである。したがって、供述録取書等の書面であっても、被告人が公判期日において当該供述者を尋問する機会が与えられている場合には、これを証拠とすることは同項の趣旨に反しない。
重要事実
被告人Bの弁護人が請求した証人Aの尋問は一度却下されたが、その後の公判期日において、相被告人の弁護人からの請求によりAが在廷証人として採用・尋問された。この尋問の際、被告人B自身も公判廷に出頭していたが、検察官作成の聴取書等の証拠能力が争われた。
事件番号: 昭和25(あ)274 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張しなかった憲法違反の事由を上告理由とすることはできず、また職権で破棄すべき事由も認められない場合、上告は棄却される。刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない主張は適法な上告理由にならない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cらは、各弁護人を通じて最高裁判所に上告を提起した。被告人Aの弁…
あてはめ
本件において、証人Aは相被告人の請求に基づき公判廷で現に尋問されている。その際、被告人Bも同一の公判廷に出頭していたのであるから、Bにとっても当該証人を反対尋問する機会は十分に与えられていたと評価できる。したがって、当初Bの請求が却下されていたとしても、最終的に尋問の機会が保障された以上、手続上の瑕疵はない。
結論
被告人に供述者を尋問する機会が与えられている以上、検察官作成の聴取書を証拠としても憲法37条2項に違反しない。
実務上の射程
伝聞例外(刑訴法321条以下)の合憲的根拠を示す際や、反対尋問権の保障の程度を論じる際の基礎となる。また、自己の請求による尋問でなくとも、在廷して尋問の機会があれば権利保障として足りることを示す。なお、自白の証拠能力(憲法38条3項)に関する判旨も含むが、実務上は反対尋問権の解釈として引用されることが多い。
事件番号: 昭和26(れ)1206 / 裁判年月日: 昭和27年5月13日 / 結論: 棄却
一 委任命令は、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」の規定により失効しない。 二 証拠決定をしないまま弁論を終結したにすぎないだけの場合は、証拠決定をしないで弁論を終結するのは絶対的上告理由にあたるとした当裁判所の判例と相反する判断をしたことにならない。 三 証拠決定をしないままで弁論を…
事件番号: 昭和24(れ)1267 / 裁判年月日: 昭和24年12月24日 / 結論: 棄却
一 論旨は刑訴應急措置法第一二條第一項は憲法第三七條第二項に違反する規定であつて、同規定を適用し採證した原判決は違憲のものであるというにある。しかし刑訴應急措置法第一二條第一項が憲法に違反したものでないことは當裁判所の判例の示すところである(昭和二三年(れ)第八三三號同二四年五月一八日大法廷判決)従て同條に則り採證した…
事件番号: 昭和26(れ)1121 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が単独で犯罪を実行したとの認定に対し、共犯者の存在を示唆する主張がなされた場合であっても、それが単なる事実誤認の主張にとどまる限り、上告理由には当たらない。最高裁判所は、記録を精査した上で刑訴法411条を適用すべき著しい正義に反する事由がない限り、原判決を維持すべきである。 第1 事案の概要…