刑法第二〇〇条は、憲法第一四条に違反するものでないことは、当裁判所が昭和二五年あ第二九二号事件について、同年一〇月一一日言渡した大法廷判決の趣旨に徴して、明らかである。
尊属殺人の規定(刑法第二〇〇条)の合憲性(第一四条)
憲法14条,刑法200条
判旨
尊属殺重罰規定(刑法200条)は憲法14条に違反せず、その法定刑の重さは立法の当否の問題に帰するものである。また、不当に長い拘禁に基づく自白等の主張は、各般の事情を勘案して判断される。
問題の所在(論点)
1. 尊属殺規定(旧刑法200条)は憲法14条1項の法の下の平等に反し違憲か。 2. 3ヶ月余りの拘禁下での自白は「不当に長い拘禁」によるものとして証拠能力が否定されるか。
規範
尊属殺重罰規定は、親族間の道徳を重視する立法趣旨に鑑み、憲法14条1項に違反しない。法定刑の厳しさは犯情に応じた刑の減軽等により調整可能であり、その具体的な法定刑の定め方は立法の裁量に属する。また、自白の任意性については、拘禁期間のみならず諸般の事情を総合して判断すべきである。
重要事実
被告人が殺人の罪に問われた事案において、被告人は尊属殺を規定する旧刑法200条の違憲性を主張。併せて、検察官面前での聴取書及び第一審公判での自白が、不当に長い拘禁(約3ヶ月)等の強制に基づくものであるとして、証拠能力や事実認定の不当を訴え、上告した。
あてはめ
1. 尊属殺規定については、先行する大法廷判決の趣旨を引用し、尊属に対する敬愛という道徳的要請に基づく差別化には合理性がある。法定刑が死刑・無期懲役のみである点は厳しすぎる側面もあるが、刑の減軽規定により個別的な調整が可能であり、立法政策の問題といえる。 2. 自白の強制については、これを認める証跡がない。拘禁期間は3ヶ月余りに及ぶが、本件記録に現れた各般の事情を勘案すれば、直ちに不当に長い拘禁とはいえず、自白の任意性を否定すべき事情とは認められない。
結論
旧刑法200条は合憲であり、自白の証拠能力及び殺意の認定にも誤りはないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は後に昭和48年大法廷判決により変更されるまでの「尊属殺合憲」時代の判例である。現代の答案作成上は、本判決の「立法政策の問題」とする論理に対し、昭和48年判決が示した「目的の合理性は認めるが、手段としての法定刑が著しく不合理」とする二段階審査の枠組みを比較して論じる際の対比材料として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)292 / 裁判年月日: 昭和25年10月11日 / 結論: 破棄差戻
一 刑法第二〇五条第二項の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第二〇五条第一項を擬律処断したことは、憲法第一四条第一項の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用…