配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条)は憲法第一四条に違反しない。
配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条)と憲法第一四条。
刑法200条,憲法14条
判旨
刑法200条(旧規定)の尊属殺人罪について、配偶者の直系尊属を殺害した場合に重罰を科すことは、配偶者の一方とその他方の直系尊属との関係を本来の親子関係に準じて重視すべきであるため、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
旧刑法200条の尊属殺人罪の規定、特に「配偶者の直系尊属」を殺害した場合に重罰を科すことが、憲法14条の「法の下の平等」に反し違憲とならないか。
規範
刑法200条(尊属殺人)の規定は憲法14条に違反しない。配偶者の一方と、その他方の直系尊属との関係は、本来の親子関係に準じて重視すべきものであるから、配偶者の直系尊属に対する殺人についても、本来の子が実親を殺害した場合と同様の重刑を科すことは正当である。
重要事実
被告人が、自身の配偶者の直系尊属(義理の両親等)を殺害した事案。弁護人は、配偶者の直系尊属に対する殺人に刑法200条を適用し重刑を科すことは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると主張して上告した。なお、殺意の有無や量刑の妥当性も争点となった。
あてはめ
判旨によれば、婚姻によって生じる配偶者の直系尊属との関係は、血縁による本来の親子関係と同様に道徳的に尊重されるべき特別の関係である。したがって、このような親族関係を重視し、普通殺人(刑法199条)よりも重い刑を科す尊属殺人規定の適用対象に配偶者の直系尊属を含めることは、合理的な根拠に基づく差別であり、法の下の平等の原則を逸脱するものではないと解される。
結論
刑法200条が配偶者の直系尊属を含む尊属殺人を重罰に処することは憲法14条に違反しない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、その後の昭和48年大法廷判決(刑法200条違憲判決)によって事実上変更されており、現在の司法試験において尊属殺人を合憲とする結論を採ることは困難である。ただし、法の下の平等に関する判断枠組み(合理的根拠の有無)や、親族関係の法的評価という論脈において、初期の判例理論を確認する意義がある。
事件番号: 昭和42(あ)1435 / 裁判年月日: 昭和42年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法200条が定める尊属殺人罪の規定は、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が尊属に対する殺害行為に及び、刑法200条の尊属殺人罪に問われた事案。弁護側は、尊属殺人を通常殺人より重く処罰する刑法200条は、憲法14条(法の下の平等)、憲法11条、13条に違反すると…