盗難被害者によつてその被害顛末を報告するため作成せられ捜査官憲に提出された記録に編綴された犯罪届書は、旧刑訴第三四〇条にいわゆる証拠書類である。
犯罪届書(被害届書)は証拠書類か
旧刑訴法340条
判旨
共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、補強証拠がなくとも当該共犯者の供述のみで被告人の有罪を認定することが可能である。
問題の所在(論点)
憲法38条3項(自白の補強法則)にいう「本人の自白」に、共犯者の供述が含まれるか。また、共犯者の供述のみで被告人の有罪を認定できるか。
規範
憲法38条3項及び刑事訴訟法上の自白排除法則・補強法則の対象となる「本人の自白」には、共犯者の供述(自白)は含まれない。したがって、被告人本人の自白がない場合であっても、共犯者の供述が架空のものではないことが被告人の供述やその他の証拠によって保障されている場合には、当該共犯者の供述を唯一の証拠として被告人の有罪を認定することができる。
重要事実
被告人Bは、相被告人Aに対し、窃盗ではなく強盗を行うよう唆し、仲間としてCを紹介し、かつ強盗に使用する短刀を交付したとして、強盗幇助の罪に問われた。原審は、相被告人Aの「Bから強盗を勧められ、短刀を交付された」旨の公判供述等を証拠としてBの有罪を認定した。これに対し、B側は、共犯者Aの自白は憲法38条3項にいう「自白」に含まれるため、補強証拠なしに有罪を認定することは憲法違反であると主張して上告した。
事件番号: 昭和23(れ)1388 / 裁判年月日: 昭和24年3月5日 / 結論: 棄却
一 直接審理主義や口頭辯論主義の建前をとることは必ず被告人の公判廷における供述のみに措信しなければならぬという結論を生むものではない、被告人の公判廷に於ける後述と所論の如き公判外における供述とが異る場合にその何れを採用するかは事實審裁判所が審理の手續を適法に履踐する以上自由に取捨判斷することが出來ることは當裁判所の屡々…
あてはめ
共犯者は被告人本人ではないため、その供述は「本人の自白」には当たらない。本件では、相被告人Aが「被告人Bから強盗の教唆を受け、短刀の交付を受けた」旨を詳細に供述している。これに対し、被告人B自身も「CをAに紹介した事実」や「短刀をAに売った事実」を認める供述をしており、これらの符合により、Aの供述内容が架空のものではないことが客観的に保障されている。さらに、B自身の供述によって被告人と犯行事実の結びつきも裏付けられている。したがって、これらの証拠を総合して有罪を認定した原判決に憲法違反の過誤はない。
結論
共犯者の自白は憲法38条3項の「本人の自白」に含まれないため、補強証拠がなくても(あるいは共犯者の自白を相互に補強証拠として)有罪を認定できる。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力および証明力をめぐる基本判例である。答案上は、補強法則(憲法38条3項、刑訴法319条2項)の適用範囲を論ずる際、共犯者の供述は「本人」の自白ではないとして、補強不要説の根拠として引用する。ただし、現行法下では実質的な証明力判断において、共犯者の供述には「引っ張り込み」の危険があるため、慎重な検討を要することに留意する。
事件番号: 昭和25(あ)1984 / 裁判年月日: 昭和25年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の補強証拠として、共同被告人の供述を用いることは憲法38条3項に違反せず、適法である。 第1 事案の概要:被告人は、第一審相被告人Aと共謀して強盗を行ったとして起訴された。第一審判決は、被告人自身の自白に加え、共同被告人Aの供述等を証拠として事実を認定し、有罪とした。これに対し弁護人は…
事件番号: 昭和26(あ)757 / 裁判年月日: 昭和28年1月16日 / 結論: 棄却
所論は第一審判が判示第二乃至第六の事実認定の証拠として共犯者三名の公判廷における供述を採用したことを認容した原審の判断は刑訴三一九条二項憲法三八条三項に違反するというのであるが、記録によると一審の採用した右共犯者等の供述は被告人としてなされたものではなく、宣誓の上証人として供述したものであるから右刑訴法の規定に反するも…
事件番号: 昭和26(れ)588 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】警察段階での自白が拷問によるものと疑われる場合であっても、それが証拠として引用されておらず、かつ他に拷問を裏付ける資料がない場合には、憲法38条違反の問題は生じない。また、原審で証人喚問の申請がなされていない以上、証人尋問の機会を奪ったとする違憲の主張は成立しない。 第1 事案の概要:被告人Aは警…