道路法四七条四項の規定に基づく車両制限令一二条所定の道路管理者の認定が約五か月間留保されても、判示の事実関係のもとにおいては、道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまり、国家賠償法一条一項にいう違法性を欠くものと解すべきである。
道路法四七条四項の規定に基づく車両制限令一二条所定の道路管理者の認定をある期間留保したことが国家賠償法一条一項にいう違法性を欠くとされた事例
道路法47条4項,車両制限令12条,国家賠償法1条1項
判旨
車両制限令に基づく道路管理者の認定は、原則として確認的行為の性格を有するが、道路行政上の比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量の行使も許容される。住民との衝突回避を目的とした一時的な認定留保は、その理由および期間が合理的であれば、国家賠償法上の違法性を欠く。
問題の所在(論点)
確認的行為の性格を有する車両制限令上の認定において、道路管理者が住民紛争を理由に認定を留保することが、行政裁量の範囲内として許容され、国家賠償法1条1項の違法性を否定できるか。
規範
道路法47条4項・車両制限令12条に基づく認定は、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有する。しかし、同条但書により条件を付し得ることや許可制度との実効的な類似性に鑑みれば、具体的事案に応じ、道路行政上の比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することも許容される。その行使が社会通念上合理的な範囲内であれば、国家賠償法1条1項の「違法」には当たらない。
重要事実
上告人は建物の建築を計画し、道路管理者である中野区長(被上告人)に対し、車両制限令に基づく認定を申請した。中野区長は、認定により建築に反対する付近住民と上告人側との間で実力による衝突が生じる危険を回避するため、約5か月間にわたって認定を留保した。その後、衝突の危険が回避されたと判断して認定を行った。上告人は、この留保期間によって損害を受けたとして国家賠償を求めた。
あてはめ
本件における中野区長の判断は、認定によって生じる可能性があった住民との「実力による衝突」という具体的危険を回避することを目的としていた。この目的は、道路行政の円滑な遂行を図るための比較衡量的判断として合理性を有する。また、留保期間は約5か月間に及んでいるものの、危険が回避されたと判断した段階で速やかに認定を行っている。したがって、本件の留保は理由及び期間の点からみて、許容される行政裁量の範囲内にとどまる。
結論
中野区長の認定留保には、国家賠償法1条1項の定める違法性はない。
実務上の射程
行政庁の行為が法律上「確認的行為」とされる場合であっても、公物管理の円滑化や秩序維持という行政目的のために一定の裁量が認められることを示した。答案上は、確認的行為の原則を述べつつ、行政指導や住民調整を理由とする一時的な処理の遅延が、国家賠償法上の違法とされる「職務上の義務違反」に直ちに該当しないことを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和49(行ツ)92 / 裁判年月日: 昭和53年5月26日 / 結論: 棄却
個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的として原判示の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいてされた知事の児童遊園設置認可処分は、たとえ右児童遊園がその設置基準に適合しているものであるとしても、行政権の著しい濫用によるものとして、国家賠償法一条一項にいう公権力の違法な行使にあたる。
事件番号: 昭和61(オ)255 / 裁判年月日: 平成2年11月8日 / 結論: 破棄差戻
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