賃借人の債務不履行により契約が解除され、土地賃貸借が終了した場合には、借地法六条一項は適用されない。
賃借人の債務不履行に基づく解除による土地賃貸借の終了と借地法六条一項
民法541条,借地法6条1項
判旨
賃借人の債務不履行を理由として土地賃貸借契約が解除された場合、借地法6条1項(現行借地借家法5条・6条に相当)に基づく契約の更新に関する規定は適用されない。
問題の所在(論点)
賃借人の債務不履行を理由に土地賃貸借契約が解除された場合に、借地法6条1項(現行借地借家法5条1項・2項等に相当)による借地契約の更新ないし存続に関する規定が適用されるか。
規範
借地法6条1項(更新請求等)の規定は、同条2項が賃貸人の異議に正当事由を要すると定めている趣旨に照らし、自らの債務を履行しない不誠実な賃借人を保護するためのものではない。したがって、賃借人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、同規定の適用はないと解すべきである。
重要事実
上告人(賃借人)Aは、被上告人(賃貸人)との間で土地賃貸借契約を締結していた。しかし、Aに債務不履行(詳細な内容は判決文からは不明だが、原審により認定されている)があったため、賃貸人は当該債務不履行を理由として契約の解除を主張した。これに対し、借地法に基づく法定更新等の適用が問題となった。
事件番号: 昭和39(オ)177 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
土地賃貸人が賃借人の賃料不払と無断転貸の二重の理由により賃貸借契約を解除したときは、賃借人より地上建物を買受けた者は、建物買取請求権を行使することができない。
あてはめ
本件において、賃借人Aには賃貸借契約上の債務不履行が存在し、それに基づき適法に解除権が行使されている。借地法上の更新規定は誠実な借地人の保護を目的とするものであるところ、債務を履行していないAは「不誠実な賃借人」に該当する。そのため、Aが借地法6条1項の適用を主張して契約の存続を求めることは、同法の趣旨から逸脱し、認められないと評価される。
結論
債務不履行解除の場合には借地法6条1項の適用はなく、本件賃貸借契約は解除により終了する。
実務上の射程
借地借家法下の実務においても同様に解されており、賃料不払い等の信頼関係を破壊する債務不履行がある場合には、同法5条(更新請求等)や6条(正当事由)を論じるまでもなく、解除によって契約が終了することを論述する際に用いる。更新拒絶の「正当事由」を補完する事情としてではなく、規定自体の適用を否定する論理として有用である。
事件番号: 昭和38(オ)1179 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地上の建物を取得した第三者が建物買取請求権を行使する際、既に賃借人の債務不履行(賃料不払)により土地賃貸借契約が解除されている場合には、当該第三者は買取請求権を行使できない。 第1 事案の概要:上告人(第三者)は、借地上の建物を取得し、賃貸人に対して建物買取請求権を行使しようとした。しかし、その…
事件番号: 昭和39(オ)1180 / 裁判年月日: 昭和40年7月2日 / 結論: 棄却
土地賃借人が賃料の支払を延滞したときは土地賃貸人は催告を要せず土地賃貸借契約を解除できる旨の特約は、借地法第一一条の特約にはあたらない。
事件番号: 昭和35(オ)946 / 裁判年月日: 昭和37年6月26日 / 結論: 棄却
借地人の債務不履行により土地賃貸借契約が解除された場合には、借地人は借地法第四条第二項の規定による地上建物の買取請求権を有しない。(昭和三五年二月九日第三小法廷判決、民集一四巻一〇八頁参照)
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。