破産の申立債権者の破産宣告手続における権利行使意思の表示は、破産の申立が取り下げられた場合においても、債務者に対する催告として時効中断の効力を有し、右債権者は、取下の時から六か月内に訴を提起することにより、当該債権の消滅時効を確定的に中断することができる。
破産宣告手続における申立債権者の権利行使意思の表示による時効中断の効力と破産申立の取下
民法147条,民法149条,民法153条,破産法132条
判旨
債権者が破産申立の手続においてした権利行使の意思表示は、一種の裁判上の請求として時効中断の効力を有し、その申立が取り下げられた場合でも、継続的催告としての効力は失われず、その後6ヶ月以内に裁判上の請求等を行えば確定的に時効を中断できる。
問題の所在(論点)
債権者が破産の申立の手続において権利行使の意思を表示した後、その破産申立を取り下げた場合、当該表示による時効中断の効力はどのように解されるべきか。また、その後の本訴提起により時効を確定的に中断できるか。
規範
破産申立の手続において、債権者が破産原因の立証のために債権の詳細を提示して権利行使の意思を表示することは、一種の裁判上の請求として消滅時効を中断する効力を有する。その後、破産申立が取り下げられたとしても、右権利行使の表示により継続してなされていたとみるべき催告としての効力は消滅せず、取下後6ヶ月以内に他の強力な中断事由(訴えの提起等)に訴えることにより、時効を確定的に中断させることができる。
重要事実
被上告人の先代Dは、上告人らに対し貸金債権を有していた。Dは、消滅時効期間の経過前に、上告人らに対し破産の申立を行った。その審理手続において、Dは債権の元利金明細を記載した計算書や約束手形を提出して権利行使の意思を表示した。その後、Dの相続人である被上告人は本訴(貸金返還請求訴訟)を提起したが、その後に破産の申立を取り下げた。
あてはめ
Dが破産手続において計算書や約束手形を提出した行為は、債権を申述して権利行使の意思を明確にしたものであり、一種の裁判上の請求として時効中断の効力が認められる。破産申立が取り下げられたことにより裁判上の請求としての遡及的効力は失われるものの、手続中になされた権利行使の意思表示は「継続的な催告」としての実質を失わない。本件では、破産申立の取下前にすでに本訴が提起されている。これは「取下後6ヶ月以内」という催告の期間制限を遵守しており、催告後の強力な中断事由に該当するため、時効中断の効力は確定的なものといえる。
結論
破産の申立が取り下げられた場合でも、手続内での権利行使の表示は催告としての効力を有し、その後6ヶ月以内に本訴が提起された以上、消滅時効は確定的に中断する。
実務上の射程
破産申立自体による中断効のみならず、その手続内での権利主張に『催告』としての効力を認めた点に意義がある。現行法下の民法147条(裁判上の請求による時効の完成猶予)や同150条(催告)の解釈においても、手続が途中で終了した場合の権利救済の法理として準用し得る。
事件番号: 昭和55(オ)1186 / 裁判年月日: 昭和56年6月30日 / 結論: 棄却
株式会社の代表取締役が、会社の自己に対する貸付金を記載した決算報告書の作成に関与し、決算内容を承知して会社に提出し、その際に個人としてもとくに異議を留保した事跡がないときは、右決算報告書に記載された自己の債務を承認したものと解するのが相当である。
事件番号: 昭和25(ク)114 / 裁判年月日: 昭和25年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かの判断の不当を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人等が、最高裁判所に対し、民事事件に関する抗告を申し立てた事案。抗告の理由は、原決定における憲法判断の不当を指摘するものではなく、通常…