中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合がその組合員のために組合員の負担する手形債務につき手形保証をすることは、同法九条の八第一項四号所定の附帯業務として有効である。
中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合と手形保証
中小企業等協同組合法9条の8,民法43条,手形法32条
判旨
法人の目的の範囲内の行為か否かは、法令・定款に照らし活動上必要な行為といえるかを客観的、抽象的に判断すべきであり、信用協同組合が組合員のために行う手形保証は、その事業に附帯する業務として目的の範囲内に属する。
問題の所在(論点)
信用協同組合が組合員のために行う手形保証行為が、法人の「目的の範囲内」の行為として有効といえるか。
規範
法人の行為が目的の範囲内(民法34条参照)に属するか否かは、営利を目的としない法人であっても、法令及び定款の規定に照らして法人としての活動上必要な行為であり得るかどうかを客観的、抽象的に観察して判断すべきである。特に手形行為については、原因関係を含めて判断すべきではなく、手形行為自体を標準として判断すべきである。
重要事実
上告人である信用協同組合(以下「組合」)の事業目的は、中小企業等協同組合法9条の8に定められた内容と同一であり、組合員のために金融業務を営むものであった。組合は、組合員(訴外有限会社D)が負担する手形債務について手形保証を行ったが、後にこの行為が組合の目的の範囲外であり無効であると主張して争った。
あてはめ
組合の事業目的は組合員に対する金融業務であり、組合員のためにその手形債務を保証することは、中小企業等協同組合法9条の8第1項4号に規定される「事業に附帯する業務」に該当すると評価できる。本件における手形保証行為自体を客観的・抽象的に観察すれば、組合の活動上必要な行為の範囲内に含まれると解される。なお、被保証人が組合員でない事実は原審で主張されておらず、組合員のための保証である前提に立てば、目的外とはいえない。
結論
信用協同組合による組合員のための手形保証は、法人の目的の範囲内に属する業務として有効である。
実務上の射程
法人の権利能力(目的の範囲内)の判断基準として、八幡製鉄事件判決等と同様の「客観的・抽象的判断」の枠組みを維持しつつ、金融業務を営む非営利法人における手形保証の有効性を認めた点に意義がある。答案上は、定款記載の目的そのものでなくとも「附帯する業務」として広く捉える根拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)571 / 裁判年月日: 昭和36年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の目的の範囲内といえるかは、定款の記載から客観的・抽象的に判断すべきであり、特定の個人に対する手形裏書も、定款上の目的に照らし客観的に必要であり得る限り、会社の目的の範囲に属する。 第1 事案の概要:上告会社において、代表者(A2)が、特定の個人(A1)のために、A1が振り出した手形に対して会…