宅地建物取引業法一七条一項および二項は、宅地建物取引の媒介の報酬契約のうち建設大臣の定めた額をこえる部分の効力を否定する趣旨であり、報酬契約のうち右額をこえる部分は無効と解するのが相当である。
宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力
宅地建物取引業法17条1項,宅地建物取引業法17条2項,昭和40年4月1日建設省告示1174号,民法90条,民法91条
判旨
宅地建物取引業法による報酬額の制限規定は強行法規であり、告示所定の最高額を超える仲介報酬契約はその超過部分において無効となる。また、売買が完結せず売主が違約金を取得した場合に業者が受け取る報酬についても、同法の制限規定が適用される。
問題の所在(論点)
1. 宅地建物取引業法による報酬制限規定(旧17条)の法的性質(強行法規性)。 2. 売買契約が完結せず売主が違約金を取得した場合の報酬についても、同法の報酬制限規定が適用されるか。
規範
宅地建物取引業法(旧17条1項、2項)は、仲介報酬契約のうち告示所定の額を超える部分の実体的効力を制限し、一般大衆を保護する趣旨を含む強行法規である。したがって、所定最高額を超える契約部分は無効となる。この制限は、売買が完結せず売主が違約金を取得した場合に業者が受領する報酬についても適用される。
重要事実
宅地建物取引業者である原告(上告人)らは、被告(売主)から土地売買の媒介を依頼された。その後、売買契約は締結されたものの、最終的に完結に至らず、売主である被告は違約金を取得した。原告らは、この場合に発生する報酬金について、宅建業法および建設省告示が定める制限を超えた額を請求できるかが争点となった。
あてはめ
宅建業法が報酬額に上限を設けているのは、取引の専門家ではない一般消費者を不当な高額報酬から保護するためである。本件のように売主が違約金を得て取引が終了した場合であっても、業者が受領する金員が「媒介の報酬」としての性質を有する以上、同法の趣旨は没却されない。したがって、合意の内容が告示所定の最高額を超えている場合、その超過部分は強行法規違反として無効と評価される。
結論
宅建業法の報酬制限規定は強行法規であり、最高額を超える部分は無効である。売主が違約金を得た場合の報酬についても同法が適用されるため、業者は所定の制限額を超える報酬を請求することはできない。
実務上の射程
宅建業法上の報酬制限が単なる取締法規ではなく強行法規であることを明示した重要判例である。答案上では、公序良俗違反(民法90条)を論じる際や、特別法による契約効力の制限を検討する場面で活用する。また、取引が中途で終了した際の報酬請求についても、名目を問わず同法の制限が及ぶことを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和40(オ)173 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 破棄差戻
(省略)