一個の売買に関し宅地建物取引業者である媒介者が数人あり、各媒介者がその数人の関与を予め承諾しているときは、右媒介者らが受けるべき報酬の合計額は、法定の最高報酬額をこえることができない。
一個の売買に関し宅地建物取引業者である媒介者が数人ある場合の報酬額
宅地建物取引業法17条1項,宅地建物取引業法17条2項,昭和40年4月1日建設省告示1174号
判旨
不動産仲介において媒介者が数人存在する場合、特段の合意がない限り、全媒介者が一体となって宅地建物取引業法等の定める報酬限度額の範囲内でのみ報酬を受領できる。また、各媒介者の報酬請求権の割合は、別段の主張立証がない限り平等であると解される。
問題の所在(論点)
数人の媒介者が1個の売買に関与した場合における、宅地建物取引業法等の報酬制限規定の適用範囲、および特段の合意がない場合における各媒介者の報酬請求権の割合が問題となった。
規範
不動産仲介契約の当事者は報酬に関して別段の合意が可能であるが、1個の売買に数人の媒介者が関与する場合、各媒介者がこれを承諾しているときは、全媒介者が一体となって法令上の最高報酬額以下の報酬を受領し得るにすぎない。また、各媒介者間の報酬分配について別段の主張立証がない場合は、各媒介者の請求権は平等に帰属する。
重要事実
第一審被告(売主)と第一審原告ら(媒介業者2名)および訴外E(媒介業者1名)との間で、本件不動産の売買契約が締結された。売買契約は買主側の違約により解除されたが、仲介契約において契約解除時の報酬支払の約定があった。媒介業者は合計3名であったが、各自が受領できる報酬額の範囲が争点となった。
あてはめ
本件では3名の媒介者が関与しているが、媒介者が複数であることを承諾している以上、3名が各別に法定上限額を請求できるのではなく、全体で上限額(80万9800円)を超えてはならない。また、各人の内訳について特段の合意や立証がないため、3名の請求権は平等と評価される。したがって、各媒介者は上限額を3等分した26万9933円を請求できるにすぎない。
結論
数人の媒介者が関与する場合、全員で1つの最高報酬額の枠を共有し、特段の合意がなければその請求権は各媒介者に平等に分割される。
実務上の射程
共同仲介(客付と元付が分かれる場合等)における報酬分配の準則を示すものである。答案上は、宅建業法の報酬制限が「1つの取引」単位で適用されることを論証する際に、本判例を根拠として「数人が一体となって最高額の範囲内」で請求できる旨を記述する。また、按分方法の立証がない場合の「平等分割」の原則としても利用可能である。
事件番号: 昭和40(オ)173 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 破棄差戻
(省略)