他人の有する債権を譲渡する契約をし、その債権の債務者に対して確定日附のある譲渡通知をした者が、その後同債権を取得した場合には、なんらの意思表示を要しないで、当然に同債権は譲受人に移転し、右譲受人は、同債権の譲受をもつて、その後右譲渡人から同債権の譲渡を受けた第三者に対抗することができる。
他人の有する債権を譲渡する契約をしてその譲渡通知をした者がその後同債権を取得した場合における右譲渡および通知の効力
民法466条,民法467条,民法560条
判旨
他人の債権を譲渡し、対抗要件たる通知を備えた後に譲渡人が当該債権を取得した場合、債権は特別の意思表示なく当然に譲受人に移転し、既になされた通知をもって第三者に対抗できる。
問題の所在(論点)
他人の債権を譲渡した者が、後に当該債権を取得した場合、債権は当然に譲受人に移転するか。また、権利取得前になされた確定日付ある通知によって、民法467条2項の対抗要件を具備したといえるか。
規範
他人の権利を譲渡する契約(民法560条等)をした後、譲渡人がその権利を取得した場合、特段の意思表示を要せず当然にその権利は譲受人に移転する。また、債権譲渡の場合、権利取得前になされた確定日付ある通知(民法467条2項)は、譲渡人が債権を取得した時点から対抗要件としての効力を発生し、以後これと両立しない地位を取得した第三者に対抗できる。
重要事実
上告人は、自己に帰属していない他人の債権を第三者に譲渡し、債務者に対して確定日付のある譲渡通知を行った。その後、譲渡人である上告人に当該債権が帰属するに至ったが、この債権の帰属および譲渡の有効性を巡り、後順位の利害関係を有する第三者(上告人側)との間で、譲渡の対抗力の有無が争点となった。原審は、債権の帰属と同時に譲渡の効力が生じ、既になされた通知が対抗要件として有効になると判断した。
あてはめ
本件では、上告人が債権を取得した際、原審認定の事実関係に基づけば、譲渡人と譲受人の間で改めて意思表示をせずとも、債権は当然に譲受人に移転したと認められる。さらに、既に確定日付ある譲渡通知が債務者に到達している以上、譲渡人が権利を取得した時点で通知の欠缺は治癒され、対抗要件としての効力が確定する。したがって、その後に出現した第三者(これと両立しない法律上の地位を取得した者)との関係では、譲受人が優先すると解される。
結論
譲渡人が債権を取得した時点で、債権は当然に譲受人に移転し、既になされた譲渡通知によって第三者に対する対抗要件も具備される。
実務上の射程
他人物賃貸借や他人物売買における「権利取得による履行」の法理を債権譲渡に拡張したもの。対抗要件の具備時期は「譲渡人が権利を取得した時」となるため、それ以前に他の有効な譲渡通知が到達していた場合には、先後関係の判断に注意を要する。司法試験では債権譲渡の二重譲渡や権利自白の文脈で、他人物譲渡の有効性と対抗力の発生時期を論じる際に用いる。
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一 手形交換所における手形の呈示後、手形振出人の依頼に基きこれをして取引停止処分を免れさせるため、手形持出銀行がその受入銀行から手形のいわゆる「依頼返還」を受けたとしても、そのために一たんなされた手形の呈示および支払拒絶の効力は失われない。 二 弁済期到来前に受働債権の譲渡または転付があつた場合でも、債務者が右の譲渡通…
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民法四六七条の債務者の承諾は、債権の譲渡人又は譲受人のいずれかに対してすることを要する。