訴訟上の和解の内容たる私法上の契約が債務不履行のために解除されても、右和解による訴訟終了の効果に影響を及ぼさない。
訴訟上の和解の内容たる私法上の契約の解除と和解による訴訟終了の効果
民訴法203条,民法545条,民法695条
判旨
訴訟上の和解により訴訟が終了した後は、和解内容である私法上の契約が債務不履行により解除されたとしても、終了した訴訟が当然に復活することはない。したがって、当該和解後に改めて提起された訴えは、二重起訴の禁止には抵触しない。
問題の所在(論点)
訴訟上の和解成立により訴訟が終了した後、和解契約が債務不履行を理由に解除された場合に、終了したはずの先行訴訟が復活するか。また、その結果として後訴の提起が二重起訴に該当するか。
規範
訴訟上の和解が成立した場合、それによって訴訟は当然に終了する。その後に和解の内容たる私法上の契約が債務不履行によって解除されたとしても、消滅するのは契約に基づく私法上の権利関係のみであり、訴訟法上の効力として一旦終了した訴訟が復活(継続)することはない。
重要事実
当事者間で訴訟上の和解が成立し、先行訴訟が終了した。その後、被告側に債務不履行があったとして、原告は和解契約を解除した上で、改めて同一の内容について本訴を提起した。これに対し、被告側は、和解解除により先行訴訟が復活していることを前提に、後訴の提起は二重起訴(民事訴訟法142条)に該当すると主張して争った。
事件番号: 昭和43(オ)523 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: その他
上告審において、反訴を提起することは、許されない。
あてはめ
本件では訴訟上の和解によって訴訟が終了している。債務不履行による解除は、和解の私法上の側面における権利義務を消滅させるにすぎない。訴訟法上の終了の効力は私法上の契約解除によって左右されないため、先行訴訟は依然として終了した状態にある。したがって、本訴提起の時点で先行訴訟が裁判所に「係属」しているとはいえず、二重起訴の禁止に触れる余地はない。
結論
和解解除によって訴訟が復活することはないため、本訴提起は二重起訴に該当せず、適法である。
実務上の射程
訴訟上の和解の性質について、訴訟行為としての側面と私法上の契約としての側面を切り離して考える立場(訴訟行為・私法行為併存説ないし両立説)を前提とした判示といえる。答案上は、二重起訴の成否や、和解解除後の法的救済手段(期日指定申し立ての可否等)が問われる場面で、訴訟終了の確定性を根拠として本判例を引用する。
事件番号: 昭和42(オ)348 / 裁判年月日: 昭和42年12月15日 / 結論: 棄却
明治二三年当時における法制下においても、登記は公示方法に過ぎず、所有権移転の要件ではないと解すべきである。
事件番号: 昭和38(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
甲乙の共有にかかる家屋について、甲が乙の作成名義を偽造して、売買による前所有権の移転登記をした場合において、甲の共有持分に関しては、右偽造による登記の無効を生ずることはない。
事件番号: 昭和41(オ)215 / 裁判年月日: 昭和41年6月24日 / 結論: 棄却
土地の不法占拠により土地所有者の蒙る損害額を、右土地を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額にあたる、と判断した点に違法はない。
事件番号: 昭和46(オ)1158 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
土地の売買契約において、買主が代金を五年間にわたつて分割支払い、その完済後売主が所有権移転登記をなし、その支払期間中の公租公課を買主が負担する旨約された場合には、右買主の公租公課負担義務は付随義務とはいえず、売主はこの義務不履行を理由に契約を解除することができる。