十五歳位に達した者は、特段の事情のないかぎり、不動産について、所有権の取得時効の要件である自主占有をすることができる。
不動産の所有権の取得時効の要件である自主占有をすることができる者の年齢
民法162条
判旨
占有者が占有開始時に15歳程度の未成年者であったとしても、その年齢からみて、特段の事情がない限り、所有の意思をもって占有をすることが可能である。
問題の所在(論点)
未成年者(15歳程度)による占有の開始について、民法162条の取得時効の要件である「所有の意思」(自主占有)を認めることができるか。
規範
取得時効の要件である「所有の意思」(自主占有)の有無は、占有取得の原因たる権原の性質により客観的に定められるべきものであるが、占有者が未成年者である場合であっても、その年齢等に照らし、特段の事情のない限り、所有の意思をもって占有をなす能力(自然的・精神的能力)を肯定できる。
重要事実
被上告人Bは、大正5年頃から本件係争地の占有を開始した。当時、被上告人Bの年齢は15歳程度であった。上告人らは、被上告人Bが当時15歳程度の未成年者であったことから、取得時効の要件である自主占有の始期を大正5年頃と認めることはできないと主張して争った。
あてはめ
被上告人Bが占有を開始した当時15歳程度であったとしても、その年齢から判断すれば、事物の理非を弁別し、自己のために所有する意思を形成するに足りる精神的能力を有していたと評価できる。したがって、他に特段の事情が認められない本件においては、大正5年頃の占有開始時において、所有の意思をもって占有をすることが可能であったといえる。
結論
被上告人Bは当時15歳程度であっても、特段の事情がない限り所有の意思をもって占有することが可能であり、自主占有の始期を大正5年頃とした原判決に違法はない。
実務上の射程
取得時効における「所有の意思」の認定に関し、占有者の行為能力の有無は直接の要件ではないことを示唆する。15歳程度の判断能力があれば、単独で自主占有を開始し得るとの基準を示しており、未成年者の占有が問題となる事案での当てはめに活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)1183 / 裁判年月日: 昭和38年9月6日 / 結論: 棄却
民法第一二六条にいう「追認ヲ為スコトヲ得ル時」とは、取消の原因たる情況の止んだ時、すなわち未成年者にあつてはこれが成年に達した時をいい、未成年者であつた者が自己の行為を了知したことは、取消権の消滅時効が進行を始めるについての要件ではない。