農地の所有者から賃借権等の設定を受け現に当該農地を耕作している者であつても、右賃借権等の設定について農業委員会の許可を受けていない以上、当該農地の所有権移転につき知事が第三者に与えた許可処分の無効確認を求める原告適格を有しない。
農業委員会の許可を受けない農地の賃借人らと当該農地の所有権移転につき知事が第三者に与えた許可処分の無効確認を求める原告適格
農地法3条1項本文,農地法2項1号,民訴法225条
判旨
農地法3条1項の許可を受けずに農地の賃借権等の設定を受けた者は、当該農地の所有権移転許可処分の無効確認を求める原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
農地法3条1項所定の許可を受けずに農地を現に耕作している者が、当該農地に関してなされた所有権移転許可処分の無効確認を求める訴訟において、原告適格を有するか。
規範
行政処分の無効確認を求める訴えの原告適格は、当該処分によって自己の権利・法的利益を侵害される者に認められる。農地法3条1項は、農地の使用貸借や賃借権等の設定・移転につき農業委員会の許可を要するとし、これに違反する行為は効力を生じない(同条4項)。したがって、同条の許可を得ていない耕作者は、法的に保護された権利を有する者とはいえず、当該農地の処分を争う法律上の利益を有しない。
重要事実
上告人は、農地法3条による農業委員会の許可を受けることなく、被上告人から本件農地の引渡しを受けて現実に耕作を行っていた。その後、知事が当該農地の所有権移転につき第三者に対して許可処分を行ったため、上告人は当該処分の無効確認を求めて提訴した。
あてはめ
農地法は農地の適正な経営を目的として、権利設定に公の許可を要求し、無許可の行為を無効としている。上告人は本件農地を現実に耕作しているものの、その権利設定につき農業委員会の許可を受けていない。そうである以上、上告人は農地法上の正当な権利者とは認められず、知事が第三者に対して行った所有権移転許可処分によって、法律上保護された利益を侵害されたとはいえない。
結論
農地法3条の許可を受けずに耕作する者は、当該農地の所有権移転許可処分の無効確認を求める原告適格を有しない。
実務上の射程
行政訴訟法における「法律上の利益を有する者」の解釈において、違法な状態で形成された事実上の利害関係は保護の対象外であることを示す。農地法違反の契約に基づく占有者が、当該農地の公法上の処分を争う場面で広く射程を有する。
事件番号: 昭和41(行ツ)4 / 裁判年月日: 昭和42年7月21日 / 結論: 棄却
地方公共団体の技術吏員は、知事から、その権限に属する事務の一部を特定して、委任をうけ、または授権された場合にかぎり、自己の名においてまたは知事を代理して、知事の権限を行使することができる。
事件番号: 昭和26(オ)414 / 裁判年月日: 昭和33年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分による物権変動については、民法177条の適用はなく、登記がなくても第三者に対抗できる。また、同法に基づく買収により所有権を失った旧所有者であっても、買収処分の無効等を争う訴えの利益は否定されない。 第1 事案の概要:本件は、自作農創設特別措置法に基づき行われ…