甲、乙間に乙名義の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴訟が係属する場合には、乙の債権者で当該不動産について強制競売の申立をし、強制競売開始決定を得た第三者は、民訴法第七一条の規定により、甲、乙間の右訴訟に当事者として参加することができる。
民訴法第七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコトヲ主張スル第三者」にあたるとされた事例
民訴法71条
判旨
親権者がその子に対し自己の所有不動産を譲渡する行為は、民法826条にいう利益相反行為には当たらない。
問題の所在(論点)
親権者が自己の所有不動産をその子に譲渡する行為が、民法826条1項の「利益が相反する行為」に該当するか。
規範
民法826条が定める「利益が相反する行為」とは、行為の客観的性質からみて、親権者の利益となり子の不利益となる行為、または共同相続人間等で一方が利益を得て他方が不利益を被る行為を指す。親権者から子への無償・有償の資産譲渡は、特段の事情がない限り子の財産を減少させるものではなく、客観的にみて子の利益を害するものとはいえないため、同条の制限は受けない。
重要事実
上告人(親権者Dと思われるが判旨上は上告人と表現)所有の不動産につき、子である被上告人B1に対し所有権移転登記がなされた。この登記はDが作成した書類に基づくものであった。上告人は、当該登記が偽造書類に基づく無効なものであるとして抹消登記を求めて提訴。これに対し、B1の債権者である被上告人B2が補助参加(または独立当事者参加)した事案である。争点として、父Dと子B1との間の不動産譲渡行為が民法826条の利益相反行為に該当し、無効となるかが争われた。
事件番号: 昭和34(オ)1128 / 裁判年月日: 昭和37年10月2日 / 結論: 棄却
親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であつても、民法第八二六条にいう「利益が相反する行為」にあたる。
あてはめ
本件における不動産譲渡行為は、親権者からその子に対して行われたものである。民法826条の趣旨は、親権者によって子の利益が不当に害されることを防止する点にある。親権者が自己の不動産を子に譲渡する行為は、子の側から見れば資産の増加をもたらすものであり、親権者の利益のために子が不利益を被る関係にはない。したがって、客観的性質に照らし、本件譲渡は利益相反行為には当たらないと評価される。
結論
親権者と子の間の本件不動産譲渡行為は、民法826条の利益相反行為には当たらないため、当該行為を有効とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
利益相反行為の判断基準が「行為の客観的性質」によるべき(外形的客観説)であることを前提としつつ、親から子への贈与や有利な譲渡については同条の適用外であることを示す重要判例。司法試験等では、826条の該当性を論じる際、利益の帰属が「親権者にプラス、子にマイナス」の関係にあるかを検討する際のリファレンスとして用いる。
事件番号: 昭和46(オ)675 / 裁判年月日: 昭和49年7月22日 / 結論: 破棄差戻
一、民法八二六条二項所定の利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称し、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わない。 二、遺産分割の協議は、民法八二六条二項の適用上は、利益相反行為に該当し、共同相続人中の数人の未成年者が、相続権を有しない一人…
事件番号: 昭和43(オ)946 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
親権者が第三者から金員を借り受けるにあたり、その未成年の子が連帯債務を負担し、また、同債務を担保するため、その子の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付賃借権の設定をなし、さらに、右代物弁済の予約完結の意思表示により右不動産の所有権が第三者に移転したことを即決和解または私法上の和解契約において確認する行為は、民法八二…
事件番号: 昭和43(オ)783 / 裁判年月日: 昭和43年10月8日 / 結論: 棄却
一、抵当権の設定契約が無効のときには、その抵当権に基づく競売により、抵当物件が競落されても、競落人はその所有権を取得することができない。 二、第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判…
事件番号: 昭和54(オ)549 / 裁判年月日: 昭和57年11月26日 / 結論: 破棄差戻
一 訴訟行為には民法八二五条は適用されない。 二 民法八二六条一項の規定による特別代理人の選任申立は、父母が共同で親権を行う場合においても、その一方が単独ですることができる。 三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が親権者のした未成年者所有不動産の担保提供行為を追認することは、その被担保債務について特…