組合員が組合名義で第三者に対し物件の売渡契約を締結した場合には、当該組合契約が無効であつても、右組合員は右第三者に対し代金債権を有する。
組合契約の無効と組合員のした組合名義による物件売渡契約の効力
民法667条,民法668条
判旨
組合契約が無効であっても、組合名義でなされた売買契約に基づく代金債権は、契約を締結した本人又は代理関係の有無に応じて各組合員に帰属し得る。したがって、組合契約の無効のみをもって直ちに売買代金請求を排斥することはできない。
問題の所在(論点)
組合契約が無効である場合において、組合名義で締結された売買契約に基づく代金債権の帰属および請求の可否が問題となる(民法667条1項、668条)。
規範
任意組合は法人格を有しないため、組合名義でなされた売買契約による代金債権は、民法668条に基づき総組合員の共有(合有)に属する。組合契約が無効である場合、当該債権は同条の共有には属さないが、契約当事者となった個人は当然に債権を取得し、他の組合員についても代理権の有無(表見代理の成否等を含む)に応じて債権取得の余地がある。
重要事実
原告ら(上告人)は組合を組織し、被告ら(被上告人)に対して魚類を販売したとして売買代金の支払を求めた。原審は、当該組合契約が漁業法違反により公序良俗に反し無効であると認定した。その結果、組合契約が無効である以上、組合としての代金請求は認められないとして、原告らの請求を棄却した。
あてはめ
組合契約が無効であっても、現に売買契約が締結されている以上、その契約当事者が誰であるかを確定すべきである。仮に組合員全員が契約当事者であれば、全員が債権を取得する(ただし合有ではない)。また、一部の者が組合名義で締結した場合には、少なくとも締結本人は債権を取得し、他の者は代理権の欠缺により取得しないにすぎない。原審は、本件売買契約を誰が締結したかを確定せずに、組合契約の無効のみから請求を失当とした点において、法律の解釈適用を誤っている。
結論
組合契約が無効であっても、売買契約の当事者として確定される者は代金債権を取得し得る。したがって、原判決を破棄し、契約締結主体の確定のために本件を差し戻す。
実務上の射程
組合の外部取引において、内部的な組合契約の効力と外部的な取引の効力を区別して考えるべきことを示した射程を持つ。答案上は、組合が関わる債権請求において、組合契約の有効性に疑義がある場合でも、契約実態に応じた個別の債権帰属(顕名や代理権の論点)を検討すべき根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)61 / 裁判年月日: 昭和35年3月18日 / 結論: 棄却
食品衛生法第二一条による食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉の買入契約は無効ではない。