土木工事請負人が道路工事に使用するため運転手助手づきの貨物自動車を借り受けた場合において、その助手が、請負人の現場監督の指揮に従い、貨物自動車の運転助手として砂利、土、石等の運搬に関与し、時には自ら貨物自動車を運転もし、これらの仕事については助手の雇主の指図をうけたことがなく、かつ請負人の飯場に起居していた等判示の事情があるときには、民法第七一五条の適用上、助手は土木工事請負人の被用者にあたると解するのが相当である。
民法第七一五条第一項の被用者にあたると認められた事例
民法715条1項
判旨
他人の所有する車両を運転手・助手とともに借り受けた場合であっても、借受人が直接その者を指揮監督し、業務に従事させている実態があれば、民法715条の「被用者」に当たると判断した。
問題の所在(論点)
直接の雇用関係がない他社の従業員(派遣されてきた作業員等)について、民法715条に基づき借受人側の「被用者」として責任を問えるか。
規範
民法715条の「被用者」とは、使用者の指揮監督の下にその事務に従事する者をいう。契約上の直接の雇用関係がない場合であっても、実質的な指揮監督関係(代位的使用関係)が認められるときは、同条の適用上、被用者に該当する。
重要事実
上告会社(建設業者)は、道路工事のためにD土建からトラック3台を運転手・助手付きで借り受けた。助手であったFは、事故発生の約40日前から上告会社の現場に入り、上告会社の現場監督の指揮に従って砂利や土石の運搬に従事していた。Fは時には自ら運転も行い、上告会社の飯場で他の作業員と共に生活しており、右工事に関して本来の雇主であるD土建から指図を受けることはなかった。このような状況下で、Fが関与した行事に関連して事故が発生した。
あてはめ
FはD土建の従業員であるが、本件工事現場においては上告会社の現場監督から直接的な指揮命令を受けていた。また、生活拠点も上告会社の飯場に置かれ、作業内容(運搬や運転)も上告会社の業務として一体化していた。本来の雇主であるD土建の関与が否定され、上告会社がFの労務提供を排他的に支配・監督していたといえる以上、上告会社とFとの間には実質的な指揮監督関係が認められる。
結論
Fは民法715条における上告会社の「被用者」に当たり、上告会社は使用者責任を免れない。
実務上の射程
下請業者の従業員や派遣労働者が、元請業者等の指揮下で稼働している場合の「事業主」の認定基準として機能する。いわゆる「実質的使用関係」の有無を、指揮命令の系統、業務内容、生活実態などの事実から総合的に判断する際の重要判例である。
事件番号: 昭和40(オ)1324 / 裁判年月日: 昭和43年9月27日 / 結論: 棄却
自動車の整備修理業者である甲が整備修理工として乙および丙を雇用していた場合に率いて、乙が、勤務時間外に、甲方の作業場を利用して、自己の友人から私的に依頼を受けた自動車の整備・修理をするため、これに必要な部分品の購入を丙に依頼し、丙が、その購入のため、当時甲方の工場建物内に保管していた他人所有の自動車を運転して、事故を惹…