破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に課せられた所得税は、破産法第四七条第二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権にあたらない。
破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に対する所得税と破産法第四七条第二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
破産法47条2号,旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条8号
判旨
所得税は破産者個人の総所得という抽象的金額を課税対象とするものであり、破産財団に属する財産の譲渡所得に対応する税額であっても、旧破産法47条2号(現行148条1項3号)の財団債権には該当しない。
問題の所在(論点)
破産宣告後の原因に基づき発生した公租公課のうち、破産財団に属する資産の譲渡所得に係る所得税債権が、破産法上の「破産財団に関して生じた」請求権(財団債権)に該当するか。
規範
公租公課が「破産財団に関して生じた」ものとして財団債権(現行破産法148条1項3号)に該当するためには、当該請求権が破産債権者にとって共益的な支出である必要がある。具体的には、破産財団を構成する各個の財産の所有事実や、各個の財産からの収益そのものに対して課せられるなど、破産財団の管理上当然の経費と認められるものでなければならない。
重要事実
納税者が破産宣告を受けた後、破産財団に属する財産を譲渡したことにより所得が生じた。これに基づき発生した所得税債権について、国側が「破産財団に関して生じた」請求権として財団債権にあたると主張し、その支払いを求めて争われた事案である。
事件番号: 昭和41(行ツ)44 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 破棄差戻
借地権の設定に際して土地所有者が支払を受ける権利金は、その設定契約において長期の存続期間を定め、かつ、借地権の譲渡性を承認する等所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その対価として更地価格のきわめて高い割合にあたる金額の支払を受けるというような、明らかに所有権の権能の一部を譲渡した対価としての…
あてはめ
所得税は、各個人の多様な所得を総合し、個人的事由による控除等を経て担税力に適合した課税を行うものであり、課税対象は破産者個人の総所得という抽象的な金額である。破産財団に属する財産による所得と自由財産による所得が混在する場合でも、所得源に応じて区分課税することは所得税法の予定しないところである。したがって、譲渡所得に対応する税額を区分して確定できたとしても、それは破産財団の管理上当然の経費とは認めがたく、共益性を欠くため「破産財団に関して生じた」とはいえない。
結論
本件所得税債権は財団債権に該当せず、破産手続によらなければ行使できない破産債権(または自由財産に対する請求権)にとどまる。
実務上の射程
現行破産法148条1項3号の解釈において、「破産財団に関し」の意義を限定的に解釈する際の中核的判例である。法人税については法人の清算過程での所得として財団債権性が肯定される傾向にあるが、所得税については本判決により財団債権性が否定されている点に注意が必要である。答案上は、共益性の有無を基準に判断枠組みを提示すべきである。
事件番号: 昭和43(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和46年11月9日 / 結論: 棄却
利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しない。
事件番号: 昭和41(行ツ)60 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」(昭和三〇年条約第一号)第八条の規定は、一方の締約国の居住者または法人その他の団体の他方の締約国内に存する不動産その他同条所定の資産については、右資産の所在国が、これに別段の課税方法を設けているときでも、その納税者に純所得…
事件番号: 昭和36(オ)944 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
いわゆる株主相互金融を営む会社において、融資を希望しない株主に対し「株主優待金」の支払をしても、法人税法上は、その支出を会社の損金に算入することは許されない。
事件番号: 昭和43(行ツ)10 / 裁判年月日: 昭和49年9月2日 / 結論: 破棄差戻
地方税法七三条の四第一項六号及び三四八条二項一二号所定の「学術の研究を目的とする」法人とは、その定款又は寄附行為の目的条項に日本学術会議法一〇条に定める区分によつて示されるような意味における人文科学及び自然科学の学理的研究並びにその応用に関する研究を行う趣旨を掲げ、かつ、その組織運営及び活動の実体からみて右研究という目…