商法第二二六条にいう株券の発行とは、会社が同法第二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したときはじめて該文書が株券となるものと解すべきである。
商法第二二六条にいう株券の発行の意義。
商法226条
判旨
株券の発行とは、会社が所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したとき初めて当該文書が株券としての効力を生ずる。
問題の所在(論点)
株券が有効に成立(発行)したといえるためには、会社による「作成」だけでなく、株主への「交付」までが必要か。
規範
株券の発行(会社法215条等参照)とは、会社が法定の形式を具備した文書(株券)を作成し、これを株主に交付することをいう。単なる文書の作成だけでは足りず、株主に交付された時点において初めて当該文書は株券としての効力を取得する。
重要事実
上告人は、手形の振出交付の例に照らし、会社が株券を作成し、その株券を「何人か」に交付すれば「株券の発行」があったと解すべきであると主張した。原審は、会社が株券を「株主に交付すること」が必要であると判断したため、上告人がこれを不服として、当時の商法226条(現行の株券発行義務・交付等に関連)の解釈誤りを理由に上告した。
あてはめ
株券は有価証券であり、権利の化身として流通に供されるものである。したがって、単に会社内部で所定の形式を備えた文書が作成されただけでは不十分であり、それが株主の手元に渡る(交付される)ことによって初めて、権利を表章する証券としての実質を備えるに至ると解される。本件において、上告人の主張する「何人かへの交付」という抽象的な交付概念は、株主への権利付与という株券の性質に照らし採用できない。株主に対して現実に交付されない限り、その文書は依然として会社内部の書面に過ぎず、株券としての効力は生じないといえる。
結論
株券の発行には株主への交付が必要であり、交付がない限り株券としての効力は有しない。
実務上の射程
株券発行会社における株券の成立時期を画する重要判例である。会社法下においても、株券発行前の株式譲渡の効力や、善意取得(会社法131条等)の成否を検討する際、「そもそも有効な株券が発行されているか」という前提問題の判断基準として活用できる。交付を欠く「作成のみの段階」での証券授受は、無効な株券の授受として処理されることになる。
事件番号: 昭和42(オ)1319 / 裁判年月日: 昭和43年4月12日 / 結論: 棄却
取締役・監査役の選任決議を内容とする株主総会決議の不存在確認の訴は、右取締役・監査役が退任した後においては、現在の法律関係ではなく即時確定の利益を欠くものである。