一 不動産登記用紙の閉鎖の回復手続を求める訴は、右閉鎖が違法にされた場合でも、許されない。 二 行政事件訴訟特例法のもとにおける行政処分の無効確認判決は、第三者に対しても効力を有する。
一 不動産登記用紙の閉鎖の回復手続を求める訴の許否 二 行政事件訴訟特例法のもとにおける行政処分の無効確認判決の効力
不動産登記法24条ノ2,民訴法226条,民訴法225条,行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟特例法12条
判旨
行政処分取消判決および無効確認判決は、行政上の法律関係を画一的に規制すべき必要性から、第三者に対してもその効力を有する(対世効)。
問題の所在(論点)
行政処分の無効確認判決の効力(対世効)は、訴訟の当事者以外の第三者に対しても及ぶか。また、その判決の効力に基づき、第三者に対して権利主張(登記抹消請求)が可能か。
規範
行政事件訴訟法(旧行政事件訴訟特例法)のもと、行政処分の取消判決は、行政上の法律関係を性質上画一的に規制すべき必要性から、第三者に対しても効力を有する(形成力・対世効)。また、無効確認判決も、取消訴訟の提起期間を徒過した場合等に取消訴訟と同様の救済を与える趣旨で認められたものである以上、その効力は取消判決と同様、第三者に対しても画一的に生ずるものと解する。
重要事実
上告人所有の土地が自作農創設特別措置法に基づき国に買収されたが、上告人が提起した買収処分無効確認訴訟において、当該処分が無効である旨の判決が確定した。しかし、当該土地については、買収処分に基づき国名義の登記がなされた後、さらに他の被上告人ら(第三者)が所有権保存登記や抵当権設定登記を経由していた。上告人は、無効確認判決の効力に基づき、これら第三者に対して登記の抹消を求めた。
事件番号: 昭和38(オ)1332 / 裁判年月日: 昭和40年7月22日 / 結論: 棄却
農地の権利移転についての知事の許可書の内容が不当に改ざんされたからといつて、一たん発生した許可処分の効力に何らの消長をもきたさない。
あてはめ
本件では、上告人と岩手県知事(処分庁)との間で買収処分の無効確認判決が既に確定している。この判決の効力は、行政上の法律関係の画一的確定という要請に基づき、被上告人国のみならず、その後に登記を経由した第三者である他の被上告人らに対しても及ぶ。したがって、上告人はこれら第三者に対しても、無効な処分に基づく不動産変動を否定し、本件土地の所有権を対抗することができる。よって、第三者らは上告人に対し、各登記の抹消手続義務を負うと解される。
結論
無効確認判決の効力は第三者にも及ぶため、上告人は被上告人ら(第三者)に対し、本件土地の所有権を主張して登記の抹消を求めることができる。
実務上の射程
行政事件訴訟法32条(取消判決の第三者効)および同法38条1項(無効等確認の訴えへの準用)の解釈指針となる。実務上、公定力の否定が対世的に生じることを前提とした民事上の権利主張(物権的請求権等)を行う際の理論的根拠として用いる。
事件番号: 昭和32(オ)640 / 裁判年月日: 昭和35年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無権利者による処分行為であっても、真の権利者が後日これを追認した場合には、特段の事情のない限り、当該処分行為は処分時に遡って有効となる。また、中間者に対する登記抹消請求が認められる場合であっても、最終譲受人に対する請求が排斥されることはあり得る。 第1 事案の概要:本件不動産の所有者である上告人は…
事件番号: 昭和32(オ)1135 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地の所有権を有しない者は、当該土地に対する買収・売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有さず、また、所有権に基づかない登記抹消請求も認められない。 第1 事案の概要:上告人(原告)の先代は、本件土地を被上告人(被告)の先代に対し生前贈与していた。その後、自作農創設特別措置法に基づき、本件土地に…
事件番号: 昭和38(オ)412 / 裁判年月日: 昭和39年8月13日 / 結論: 棄却
不動産所有権を取得したが本登記手続を経ない仮登記権利者は、右不動産上の抵当権者に対し被担保債務が弁済されたことを理由に当該抵当権設定登記の抹消登記手続を請求し得ない。