一 地主所有の果樹が生立する果樹園であつても、自作農創設特別措置法による農地買収の対象となる。 二 自作農創設特別措置法第三条第五項第二号によるいわゆる仮装自作地の買収については、同条第一項第二号、第三号所定の買収面積の制限を受けない。
一 地主所有の果樹が生立する果樹園に対する農地買収の適否。 二 自作農創設特別措置法第三条第五項第二号の規定による買収と買収面積制限の有無。
自作農創設特別措置法2条,自作農創設特別措置法3条
判旨
自作農創設特別措置法にいう「農地」には果樹園も含まれ、地上に存する果樹が土地から分離独立した権利の客体でない限り、土地の買収に伴い当然にその所有権も移転する。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法上の「農地」に果樹園が含まれるか。また、同法に基づく農地の買収の効力は、明文の規定がない場合でも、土地上の果樹に及ぶか。
規範
自作農創設特別措置法2条の「農地」とは、耕作(土地に労資を加え、肥培管理を行って作物を栽培すること)の目的に供される土地を指し、その作物には穀類・蔬菜類のみならず、林業の対象でない限り、果樹等の永年生植物も広く含まれる。また、土地上の果樹が分離独立した権利の客体でない場合には、土地の構成部分として一個の所有権の客体を成すため、特別の規定がない限り、土地の買収により当然に併せて買収の対象となる。
重要事実
上告人は、蜜柑樹が植栽されている果樹園を所有していたが、国(政府)が自作農創設特別措置法に基づき、当該土地を「農地」として買収処分に付した。上告人は、①果樹園は同法にいう農地にあたらない、②仮に農地であっても、独立した権利の客体となり得る地上物件(蜜柑樹)がある土地について、同法には地上物件を併せて買収できる規定がないため、買収は違法であると主張して争った。
事件番号: 昭和41(行ツ)41 / 裁判年月日: 昭和43年5月28日 / 結論: 破棄差戻
耕地整理の施行により大略一反歩ずつに整然と区画されて後、都市計画法による都市計画区域に編入された土地を対象とする農地買収処分の無効確認訴訟において、旧所有者である原告から、右土地が大都市近郊の住宅地として開発され、戦前すでに風致地区に指定された旨の主張があり、また判示のように、右土地の耕作が必ずしも正当な権原に基づくも…
あてはめ
本件土地は蜜柑の栽培に供されており、肥培管理を行って作物を栽培するものであるから、同法2条の「農地」に含まれる。また、本件蜜柑樹は土地から分離独立した権利の客体とは認められず、地盤たる土地の構成部分を成している。したがって、民法の付合の原則(あるいは構成部分の法理)に照らし、土地所有権の移転と運命を共にする。同法に対価の算定規定が欠けているとしても、経済価値を考慮した算定を否定するものではなく、現に本件では蜜柑樹の価値を含めた対価が算定されているため、土地買収の効力は当然に果樹にも及ぶ。
結論
本件果樹園は同法の「農地」にあたり、買収処分の効力は地上物件である蜜柑樹にも及ぶため、本件買収処分は適法である。
実務上の射程
行政法における「目的物の範囲」や、民法上の「土地の構成部分」の解釈が問題となる事案で参照される。特に、特別法に基づく権利移転において、明文の規定がない付随的な物件の帰属を判断する際、私法上の構成部分の法理が適用されることを示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和39(行ツ)21 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第四号により買収除外の指定を受けた区域内にある小作地であつても、これを同法第三条第一項第二号にいう在村地主の保有小作面積に算入することは許される。
事件番号: 昭和28(オ)1266 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
農地所有権の移転後、移転登記未経由の間に登記簿上の所有名義人を所有者としてなされた農地買収処分は、当然無効と解すべきではない
事件番号: 昭和38(オ)355 / 裁判年月日: 昭和38年12月19日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第四号の規定による主務大臣の指定する土地に関する件(昭和二三年一月二九日農林省告示第一〇号)は、耕地整理法に基づき耕地整理を施行した土地で宅地としての利用を増進する効果を伴つたもののうち、その施行が都市計画法施行以前に設立された耕地整理組合によつてなされたものに限り、これをもつて自作農創設特別…
事件番号: 昭和31(オ)372 / 裁判年月日: 昭和33年7月8日 / 結論: 棄却
一 日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第六三条により、自作農創設特別措置法第五条第一号の適用につき国とみなされる。 二 日本国有鉄道がその職員の食糧確保のための厚生施設として利用している農地は、日本国有鉄道法第六三条により自作農創設特別措置法第五条第一号の適用につき国とみなされる日本国有鉄道が「公用に供している農地」にあた…