控訴判決の証拠となつた文書を偽造したとして偽造者につき有罪の判決が確定したときは、右判決の確定が控訴審の口頭弁論終結前であつても、上告人がその弁論において右判決の確定を知らないで主張しなかつた以上、これをもつて上告の理由とすることができる。
書証偽造の有罪判決確定と上告理由。
民訴法420条1項6号,民訴法420条2項,民訴法394条,民訴法395条
判旨
判決の証拠となった文書が偽造されたことにつき有罪判決が確定した場合、民事訴訟法上の再審事由(現行338条1項6号)に該当するが、当該判決が未確定の段階であれば上告により当該事由を主張して判決を破棄し、差し戻しを求めることができる。
問題の所在(論点)
判決の証拠となった文書が偽造されたことにつき有罪判決が確定している場合、その事由を上告理由として主張し、原判決の破棄を求めることができるか。また、原審の口頭弁論終結前にその事実を知っていたか否かがその主張の可否にどう影響するか。
規範
民事訴訟法上の再審事由(証拠となった文書の偽造等についての有罪判決の確定)がある場合、その規定の趣旨に鑑み、当該判決に対する上告審においてその事由を主張し、原判決を破棄して控訴裁判所に新たな審理を求めることが可能である。ただし、当事者が上訴によりその事由を主張せず、またはこれを知って主張しなかった場合には、再審と同様に制限される可能性があるが、上告審で初めて主張する場合でも、原審の口頭弁論終結後に知った等の事情があれば適法な上告理由となる。
重要事実
被上告人が上告人に対し手形金請求訴訟を提起した。一審および二審(原審)は、本件約束手形が真正に成立したものと認め、上告人に支払いを命じた。しかし、原審の証拠となった当該手形につき、訴外Gが偽造したとして有罪判決を受け、その判決は原審の口頭弁論終結前に確定していた。上告人は、この確定した有罪判決を理由に原判決の破棄を求めて上告した。被上告人は、上告人が原審において右事実を知りながら主張しなかったと反論した。
あてはめ
民訴法420条1項6号(現行338条1項6号)は、証拠となった文書が偽造されたことの有罪判決が確定したときは再審の訴えを許容している。本件において、原判決が依拠した約束手形が偽造されたものであることは、確定した有罪判決により認められている。この再審規定の趣旨によれば、未確定の控訴判決に対しても、上告によりこの事由を主張して破棄を求めることができる。被上告人は、上告人が原審でこの事実を知りながら主張しなかったと主張するが、記録上、上告人が原審の弁論終結前に右事実を知っていたと認めるに足りる証拠はない。したがって、上告理由として失当ではない。
結論
原判決を破棄し、本件を福岡高等裁判所に差し戻す。偽造の事実を斟酌してさらに審理判断すべきである。
実務上の射程
再審事由が上告審で判明した場合の上告理由としての構成を認めた事例。実務上、再審事由(現行338条1項)が存在する場合、判決が確定する前であれば、上告(または上告受理申立て)の手続きの中でこれを主張し、判決を破棄させるための根拠として利用できる。
事件番号: 昭和30(オ)416 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 破棄差戻
刑事上罰すべき他人の行為(詐欺)によつて裁判上の自白がなされた場合、右自白者が、これを理由としてその無効、取消を主張した以上、裁判上の自白の効力は認むべきではない。