継続的売買取引について将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額ならびに期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであつて、保証人の死亡後生じた債務については、その相続人においてこれが保証債務を負担するものではない。
責任の限度額ならびに保証期間の定めのない根保証の相続性。
民法446条
判旨
期間や限度額の定めのない継続的取引の保証人(根保証人)の地位は、特段の事由がない限り相続人に承継されない。したがって、保証人の死亡後に発生した主債務について、相続人は保証債務を負わない。
問題の所在(論点)
期間および限度額の定めのない継続的取引の連帯保証債務(根保証債務)において、保証人の死亡後に発生した主債務は、相続の対象となるか。
規範
期間および責任限度額の定めのない継続的取引の連帯保証契約(根保証)において、保証人の地位は、当事者間の個人的な信頼関係を基礎とするものである。したがって、特段の事由のない限り、保証人たる地位は当事者の一身に専属し、保証人の死亡後に発生した主債務について、その相続人が保証債務を承継負担することはない。
重要事実
訴外Dと被上告会社との継続的な肥料取引(代金毎月末払)につき、訴外Fが連帯保証人となった。この保証契約には期間や限度額の定めがなかった。Fは昭和32年6月7日に死亡し、その長男である上告人A1が遺産を相続した。被上告会社は、Fの死亡後である昭和32年9月から昭和33年3月までの間に発生したDの売掛代金債務について、A1に対し保証債務の履行を求めて提訴した。
あてはめ
本件の連帯保証契約は、特定の債務に対する通常の保証とは異なり、将来負担すべき債務について責任限度額も期間も定めていないものである。このような保証契約は、保証人と主債務者の個人的な信用関係に依拠する度合いが極めて強く、保証人の責任範囲が過度に広汎となるおそれがある。本件で問題となっている債務は、保証人Fの死亡後に発生したものであり、特段の事由がない限り、Fの死亡によって保証人たる地位は消滅している。そのため、相続人であるA1が当然にこの債務を承継すると解することはできない。
結論
相続人A1は、保証人Fの死亡後に発生した本件債務について、保証債務を承継しない。したがって、A1に支払義務を認めた原判決は破棄されるべきである。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「信用保証(根保証)」のうち、期間も極度額も定めのない包括的なケースについて、一身専属性を認めて相続性を否定したものである。司法試験においては、民法896条の「一身に専属したもの」の具体例として論じる。なお、特定の既成債務の保証債務や、相続時に既に発生していた保証債務(遅滞分等)は相続の対象となる点と区別して論じる必要がある。
事件番号: 昭和34(オ)1233 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】将来発生すべき債務であっても、特定の取引から生じるものとして範囲が特定されている場合には、連帯保証契約の対象とすることができる。また、包括的な連帯保証の事実は、証拠に基づき合理的に認定されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、昭和31年10月頃、被上告会社に対し、Dが被上告会社との間で行うミ…