債権者が、主たる債務者に対しては債務の一部を免除したが、連帯保証人に対しては債務全額を取り立てる旨の意思表示をなし、連帯保証人がこれを承諾したときは、連帯保証人は、債権者に対し右免除部分については付従性を有しない独立の債務を負担するに至つたものというべきである。
連帯保証人が付従性を有しない独立の債務を負担するに至つたと認められる事例
民法448条
判旨
主たる債務が免除された場合でも、保証人が免除部分を含めた全額を履行する旨の意思表示をしたときは、付従性を有しない独立の債務を負担したものと解される。また、債権者委員会の免除決議の内容を了知した上で「何年かかっても支払う」と述べたことは、特段の事情がない限り、当該決議を承諾する旨の有効な意思表示にあたる。
問題の所在(論点)
主たる債務が免除された場合、保証人が「何年かかっても支払う」と陳述したことをもって、保証債務の付従性を排して免除部分も含めた独立の債務を負担する旨の意思表示があったと認められるか。
規範
保証債務は本来、主たる債務に付従する性質を有する(民法448条参照)。しかし、保証人が主たる債務の免除を知った上で、あえて当該免除部分を含む全額の履行をなすべき旨の意思表示をした場合には、その特段の意思表示によって、免除部分につき付従性を有しない独立の債務を負担するに至ったものと解すべきである。
重要事実
債権者である上告人は、債務者である被上告会社と継続的取引契約を締結し、被上告人B1が連帯保証人となった。被上告会社が支払不能に陥ったため開催された債権者委員会において、債権額の80パーセントを免除するが、B1からは全額を取り立てることを認める旨の決議がなされた。B1はこの決議内容を読み聞かされた際、「何年かかっても支払う」旨を陳述した。
あてはめ
B1は債権者委員会の決議内容(主たる債務の80%免除および保証人からの全額取立て)を具体的に了知した上で、支払いの意思を表明している。このような状況下での「何年かかっても支払う」との発言は、単なる儀礼的な言辞ではなく、決議内容を承諾し、免除された部分についても自ら履行する意思を客観的に示したものといえる。したがって、B1は本来の保証債務の付従性を超え、免除相当額についても独立の支払債務を負担したものと解するのが相当である。
結論
B1は主たる債務が免除された部分についても、付従性を有しない独立の債務として支払義務を負う。
実務上の射程
保証債務の付従性の例外を認める際の規範として重要である。実務上は、保証人の言動が単なる抽象的な支払い意欲の表明か、それとも具体的免除を前提とした独立の債務負担意思かを見極める必要がある。
事件番号: 昭和28(オ)583 / 裁判年月日: 昭和28年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】主たる債務者の商行為によって生じた債務を保証したときは、保証人が非商人であっても、商法511条2項に基づき、主たる債務者と連帯して債務を負担する。 第1 事案の概要:1. 被上告人と訴外E油脂工業株式会社(以下「会社」)との間で、牛骨の売買契約が成立した。2. 上告人及び訴外Dは、当該売買契約に基…