一 「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」(昭和二〇年勅令第五四二号)およびこれに基づく「団体等規正令」(昭和二四政令第六四号)、「解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令」(昭和二三年政令第二三八号)ならびに右政令に基づく団体指定、解散、財産接収の処分は、その内容が日本国憲法に違反すると否とを問わず、効力を有する。 二 「団体等規正令」および「解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令」に基づく財産接収処分は、いわゆる公用徴収にあたらない。
一 「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」およびこれに基づく「団体等規正令」「解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令」ならびに右政令に基づく団体指定、解散、財産接収の処分と日本国憲法。 二 「団体等規正令」および「解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令」に基づく財産接収処分は公用徴収にあたるか。
憲法21条,憲法29条,憲法31条,ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(昭和20年勅令542号),団体等規正令(昭和24年政令64号),解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令(昭和23年政令238号)
判旨
占領目的を達成するためのポツダム緊急勅令及びこれに基づく諸命令は、憲法の条項にかかわらずその効力を有する超憲法的効力を有する。また、特定団体の活動禁圧を目的とする財産没収は憲法29条3項の公用徴収に当たらない。
問題の所在(論点)
1. 占領下におけるポツダム命令およびそれに基づく処分に対し、憲法の規定(結社の自由、適正手続、財産権等)を適用してその違憲性を審査できるか。2. 特定団体の活動禁圧を目的とした財産接収は、憲法29条3項にいう「公用」のための収用(公用徴収)に該当し、正当な補償を要するか。
規範
1. ポツダム宣言の受諾に伴い発せられた命令(いわゆるポツダム命令)は、日本国憲法の範囲外において法的効力を有し、憲法の規定に照らしてその効力を問題とする余地はない。2. 憲法29条3項の公用徴収とは、特定の財産を公共のために用いる目的で行われるものを指す。したがって、団体の活動禁圧を目的とした財産没収は公用徴収には当たらない。
重要事実
在日朝鮮人連盟は、連合国最高司令官(SCAP)の要求に基づき、団体等規正令等により解散を命じられ、その財産を接収された。同連盟は、これらの命令が憲法21条(結社の自由)、29条(財産権)、31条(適正手続)等に違反し無効であると主張した。また、接収された建物の返還や、不法行為・不当利得に基づく賠償、憲法29条3項に基づく正当な補償を求めて上告した。
あてはめ
1. 本件解散命令および財産接収の根拠となったポツダム緊急勅令および各政令は、占領目的達成のための司令官の指令・要求に基づくものである。これらは超憲法的な効力を有するため、憲法に適合するか否かを問わず有効である。2. 本件接収は、団体を消滅させ、その活動を禁圧することを目的として財産を没収する趣旨で行われたものである。これは財産を公共の利益のために活用する目的で行われたものではないため、憲法29条3項の「公用徴収」には該当せず、同条項に基づく補償は不要である。
結論
本件解散・財産接収処分は、憲法審査の対象外として有効であり、また公用徴収にも当たらないため、憲法29条3項に基づく補償請求は認められない。
実務上の射程
連合国占領下の特殊な法的状況に関する判例であり、現代の国内法秩序にそのまま適用されるものではないが、「公用徴収」の定義(公共の目的のための利用)については、制裁的没収との区別を示す指針として答案上参照しうる。
事件番号: 昭和25(オ)256 / 裁判年月日: 昭和25年8月4日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】GHQの指令に基づく団体等規正令等の処分を争う訴訟は、日本の裁判所の裁判権に属しない。このような訴えが提起された場合、裁判所は直ちに訴状を却下すべきである。 第1 事案の概要:上告人らが、団体等規正令および解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基づき法務総裁等が行った処分の効力を争い、訴えを…
事件番号: 昭和34(オ)1113 / 裁判年月日: 昭和36年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約における既払代金没収の特約が、契約当事者の窮迫に乗じて締結されたなどの事情がない限り、公序良俗に反し無効であるとはいえない。 第1 事案の概要:上告人Aは、本件地上の建物を収去しなければならない不利な立場にあった。Aは、土地賃貸人である訴外Dとの間で土地売買契約を締結する際、契約が解除され…
事件番号: 昭和31(オ)319 / 裁判年月日: 昭和32年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人が、外資委員会の認可を得ることなく自己の居住用以外の土地を日本人から取得した場合、昭和24年政令第51号に基づき、その所有権取得の効力は生じない。また、その後の法律改正による新設規定の遡及適用も、特段の定めがない限り認められない。 第1 事案の概要:外国人である上告人は、昭和26年3月23日…
事件番号: 昭和25(オ)147 / 裁判年月日: 昭和25年7月5日 / 結論: 破棄自判
団体等規正令並びに解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基く法務総裁の処分の効力を争う訴の提起を受けたときは、裁判長は直ちに、命令をもつて訴状を却下すべく、右命令に対する抗告事件においては、抗告裁判所の裁判長は、直ちに、命令をもつて抗告状を却下すべきである。また、右と異る下級審の裁判に対し上訴が提起されたときは、…