解除権者が訴を提起し、契約解除による効果の実行を求めた場合には、当該訴状が相手方に送達された時に当該契約解除の意思表示があつたものと解すべきである。
訴状の送達による契約解除の意思表示の到達を認めた事例。
民法540条,民法97条
判旨
解除権者が訴えを提起して契約解除による効果の実行を求めた場合、当該訴状が相手方に送達された時に契約解除の意思表示があったものと解される。
問題の所在(論点)
解除の意思表示が裁判外で事前になされていない場合において、契約解除による効果の実行を求める訴状の送達を、民法540条1項にいう「解除の意思表示」と認めることができるか。
規範
解除権者が、裁判外で別途解除の通知を行うことなく、訴訟において直接契約解除に基づく目的物の返還や明渡し等の効果の実現を求めた場合には、特段の事情のない限り、当該訴状の送達をもって契約解除の意思表示(民法540条1項)が相手方に到達したものとみなすのが相当である。
重要事実
被上告人(売主)が、上告人(買主)に対し、売買契約の解除を原因として家屋等の明渡しを求めて提訴した。被上告人は請求原因として、特約に基づく解除のほか、予備的に本件訴状の送達による解除も主張していた。一審・二審ともに訴状の送達をもって解除の効力を認めたため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件において、被上告人は本件訴状の到達による契約解除を予備的に主張しており、訴訟の目的自体も契約解除を原因とする家屋等の明渡し請求である。このように、解除権者が訴えを通じて解除の効果の実行を求めていることが明白である以上、当該訴状が相手方である上告人に送達された時点で、解除の意思表示が到達したものと評価できる。
結論
本件売買契約は、訴状の送達をもって解除の意思表示がなされたものと認められるため、解除の効果は有効に発生している。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
契約解除の通知(催告解除や解除の意思表示)を事前に行うことなく提訴した場合であっても、訴状自体に解除の意思表示を包含させることができるという実務上極めて重要な判断を示している。起案においては、解除の意思表示の有無が争点となる際、訴状の送達時期を意思表示の到達時として構成する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)1149 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
正当事由に基づく家屋受渡請求事件において、被告(賃借人)先代が賃料につき提供も供託もしていないことをもつて、他人の家屋を使用する者として信義に反する旨の主張が原告(賃貸人)によつてなされ、被告が右事実を認めたが、右賃料についてはその後被告はこれを供託した旨陳述し、これに対し原告がその点を争わないと述べているときは、原告…