民訴第四〇七条第二項にいわゆる「事実上の判断」とは、職権調査事項につき上告審のなした事実上の判断だけを指すもので、訴の本案たる事実に関する判断を含まないものと解すべきである。
民訴法第四〇七条第二項にいわゆる「事実上の判断」の意義。
民訴法407条2項,民訴法403条
判旨
民事訴訟法325条3項(旧407条2項)にいう「事実上の判断」とは、職権調査事項につき上告審がなした判断を指し、訴えの本案たる事実に関する判断を含まない。そのため、差戻後の裁判所は、差戻前の判決において上告審が覊束された本案事実の判断には拘束されない。
問題の所在(論点)
上告審の破棄差戻判決において、下級審を拘束する「事実上の判断」(民事訴訟法325条3項)に、訴えの本案たる事実に関する判断が含まれるか。また、差戻前の判決が依拠した事実が、差戻後の裁判所を拘束するか。
規範
民事訴訟法325条3項(旧407条2項)に基づき、破棄差戻しを受けた裁判所を拘束する「事実上の判断」とは、上告審が職権で調査した事項についての判断を指す。上告審は原則として原審が確定した事実に拘束される(法321条1項)立場にあるため、訴えの本案に関する事実認定は同条項の「事実上の判断」には含まれない。
重要事実
上告人ら3名が被上告人に対し、相続分に応じた金員(28万1500円の6分の1)の支払義務があるかどうかが争点となった事案である。差戻前の判決を経て、再び上告審で争われた際、上告人らは「差戻後の控訴審は、差戻前の判決における事実上の判断に拘束されるべきである」旨を主張して、原判決の事実認定の不当性を訴えた。
あてはめ
上告審は原審が適法に確定した事実に拘束される(法321条1項、旧403条)ため、本案事実を自ら認定する立場にない。したがって、差戻判決の理由中で示された本案的事実の扱いは、差戻後の裁判所を拘束する「事実上の判断」には当たらない。本件原判決が、証拠に基づき相続分に応じた支払義務を認定したことは、差戻前の判決と抵触するものではなく、適法な事実認定の範囲内であるといえる。
結論
民訴法325条3項の「事実上の判断」に本案事実は含まれないため、差戻後の裁判所は独自の証拠評価に基づき事実を認定できる。原審の判断に違法はない。
実務上の射程
差戻判決の拘束力(判決の理由中で示された法律上の判断が下級審を拘束する効力)の限界を画する重要判例である。答案上は、破棄差戻し後の事実認定の自由度を論じる際、本案事実は「法律上の判断」ではないことを前提としつつ、本条の「事実上の判断」の意義を限定的に解釈して引用する。
事件番号: 昭和36(オ)1133 / 裁判年月日: 昭和38年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】利息制限法所定の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合であっても、元本債権が存在する限り当然に元本に充当されると解すべき根拠はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和24年3月末日に被上告人に対し22,500円を支払った。上告人は、この支払が利息制限法(旧法)の制限を超える利息および損害金…