一 借地法第七条にいう建物の滅失した場合とは、建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取りこわしであると否とを問わず、建物が滅失した一切の場合を指すものと解するのが相当である。 二 一箇の借地契約に基づいて借地上に建物が存在する場合には、その建物の敷地が当該借地の一少部分であつても、その敷地についてのみ借地法第七条を適用しなければならないものではなく、当該借地全体について同条が適用されるものと解するのが相当である。
一 借地法第七条にいう「建物ガ滅失シタル場合」の意義 二 滅失建物の敷地が借地の一小部分である場合と借地法第七条の適用される借地権の範囲
借地法7条
判旨
借地法7条(現借地借家法7条1項参照)の「建物が滅失した場合」には、火災等の自然的滅失だけでなく、借地権者による任意取毀し等の人工的滅失も含まれる。
問題の所在(論点)
借地法7条(現借地借家法7条1項に対応)における「建物が滅失した場合」の意義。具体的には、借地権者による任意の取毀しがこれに含まれるか。また、一箇の借地契約において敷地の一部にのみ建物が存在していた場合の同条の適用範囲が問題となった。
規範
借地法7条の趣旨は、建物滅失後に再築された建物の利用を可能な限り全うさせる点にある。したがって、同条にいう建物の滅失とは、滅失の原因が自然的であるか人工的であるか(借地権者の任意の取毀しか否か)を問わず、建物が滅失した一切の場合を指す。
重要事実
上告人(借地権者)は、被上告人(貸主)から土地を借り受け、その上にバラックを所有していた。その後、上告人はこのバラックを取り払った。その後、借地権の期間満了に伴い、上告人は借地法4条に基づく建物買取請求権等を主張したが、期間満了時に土地上に建物が存在していなかった事実が認められた。
事件番号: 昭和48(オ)411 / 裁判年月日: 昭和50年9月11日 / 結論: 棄却
借地人が、地上建物を改築するにあたり、旧建物を一時に全部取り毀さず、新建物の建築工事と並行してその進行状況に応じて順次取り毀し、新建物完成の時に全部取り毀したときでも、右旧建物の取毀しは、借地法七条にいう建物の滅失にあたる。
あてはめ
本件バラックの取払いは、たとえ借地権者による任意の行為であっても、建物が実質的に存在しなくなったことに変わりはない。同条の趣旨が建物の再築・利用の継続を保護する点にある以上、取毀しも「滅失」に含まれると解される。また、借地の一部にのみ建物があった場合でも、一箇の借地契約に基づく以上、その効力は借地全体に及ぶ。本件では期間満了時に建物が存在しなかったため、借地法4条の適用要件を欠く。
結論
借地法7条の「滅失」には任意の取毀しも含まれる。ただし、借地権消滅時に借地上に建物が存在しない場合には、その理由を問わず借地法4条(建物買取請求権)の適用はない。
実務上の射程
現行の借地借家法7条1項(再築による期間の延長)の解釈においても同様の理が妥当する。任意の取毀しが含まれることを前提に、合意による期間延長や建物買取請求権(同法13条)の成否を検討する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和28(オ)43 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地上の建物が滅失した場合であっても、借地権者が遅滞なく建物を築造する旨を周知させる等、借地法上の対抗要件(旧借地法10条等)を維持・継続させる特段の事情がある場合には、第三者に対して借地権を主張し得る。 第1 事案の概要:本件は、借地権者が所有していた建物について登記を具備していたところ、火災等…
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
事件番号: 昭和48(オ)859 / 裁判年月日: 昭和49年9月20日 / 結論: 棄却
借地法四条一項但書の正当事由の有無の判断基準時を賃貸借期間終了の時とし、その後の事情を右判断基準時の事実関係を認定するための資料とした原審の認定判断は正当である。