不動産に対する仮差押の執行をなした債権者は、後日該不動産に対し競売法による競売手続が開始された場合には、配当にあずかる債権者となる。
不動産に対する仮差押債権者と競売法による競売。
競売法33条,民訴法697条,民訴法630条3項
判旨
不動産に対し仮差押えの執行をした債権者は、後日その不動産につき競売手続が開始されても仮差押えの効力は失われず、配当を受けるべき債権者となる。
問題の所在(論点)
不動産仮差押債権者が存在する状況で競売手続が開始された場合、仮差押債権者は配当を受けるべき債権者に該当するか。また、仮差押債権者の地位を侵害する転付命令の効力はどうなるか。
規範
不動産に対し仮差押えの執行をした債権者は、その後の競売手続においても、執行保全の見地から仮差押えの効力を維持し、配当に与かるべき債権者としての地位を有する。仮に競売手続中に執行の要件が完備(本案の勝訴確定等)しない場合であっても、当該債権者に配当されるべき金額は供託されるべきであり、その地位を侵害する後順位の命令等は効力を有しない。
重要事実
不動産に対して仮差押えの執行をした債権者が存在する状況において、当該不動産について競売法に基づく競売手続が開始された。この手続の進行中、仮差押債権者の権利を侵害する形で発令された転付命令の有効性が争点となった。
あてはめ
本件では、不動産に対する仮差押えが既になされており、競売手続が開始された後もその効力は失効しない。仮差押債権者は、競売手続において配当を受けるべき債権者となる。そして、本件転付命令は、このような仮差押債権者が有する「配当を供託されるべき権利」等の法的地位を侵害するものである。したがって、執行保全の目的を達するためには、当該転付命令は無効と解するのが相当である。
結論
仮差押債権者は配当に与かる債権者となり、その権利を侵害する転付命令は無効である。
実務上の射程
民事執行法下の現行実務においても、仮差押債権者が配当要求をせずとも当然に配当を受けられる(配当額は供託される)という原則の根拠となる判例である。答案上は、仮差押えの執行保全的効力や配当手続における優先順位を論じる際に活用できる。
事件番号: 平成6(オ)1408 / 裁判年月日: 平成10年3月26日 / 結論: 棄却
債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。