競売手続の無効を原因として現在の法律関係の存否確認を求めることなく単に右競売手続自体の無効確認を求めることは許されない。
競売手続無効確認の訴の許否。
競売法22条,民訴法225条
判旨
確認の訴えは現在の法律関係を対象とする必要があり、既に完了した競売手続や抹消済みの登記の無効確認は、現在の法律関係の存否を求めるものではないため、確認の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
既に完了した競売手続や抹消された登記の無効確認を求める訴え、および既に抹消された登記の抹消手続を求める訴えについて、訴えの利益(確認の利益および訴えの主観的・客観的利益)が認められるか。
規範
確認の訴えが適法であるためには、原則として「現在の法律関係」を対象とする必要があり、過去の法律関係や単なる事実関係、または手続自体の無効を確認することは、それによって現在の紛争が抜本的に解決されるなどの特段の事情がない限り、確認の利益を欠く。また、給付の訴え等のより直接的な救済手段がある場合や、対象が既に消滅している場合には、訴えの利益が認められない。
重要事実
上告人は、抵当権設定登記の無効確認、不動産競売手続の無効確認、および抵当権設定登記の抹消登記手続を求めて出訴した。しかし、本件訴訟の審理中において、当該競売手続は既に完了しており、それに伴い対象となる抵当権設定登記も既に抹消されていた。
事件番号: 昭和32(オ)635 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】後順位抵当権者は、不動産の価格が先順位及び後順位の各債権を満足させるに足りる場合であっても、将来の価格低落や優先債権の発生により配当を受けられない可能性があるため、先順位抵当権の無効確認を求める訴えの利益を有する。 第1 事案の概要:不動産の抵当権設定において、後順位抵当権者が先順位抵当権の無効確…
あてはめ
第一に、抵当権設定登記の無効確認については、既に登記が抹消されている以上、過去の法律関係の確認を求めるものに過ぎず、現在の法律関係を対象とするものではない。第二に、登記抹消手続請求については、既に登記が抹消されているため、請求の対象自体が欠如している。第三に、競売手続の無効確認については、手続の無効を前提とした現在の権利関係(所有権の帰属等)の確認を求めるのではなく、単に過去の事実たる手続自体の無効を求めるに過ぎない。したがって、いずれも紛争の解決に資する有効適切な手段とはいえない。
結論
本件訴えはいずれも失当(不適法)であり、棄却(原審の判断を維持)すべきである。
実務上の射程
確認の訴えにおける「対象の適格」および「確認の利益」に関する基礎的な判例である。答案上は、過去の法律関係の確認を求めている場合に、本判例を引用して『現在の法律関係』を対象とすべき原則を指摘し、例外的に現在の権利義務に直結する場合(例:遺言無効確認等)に当たるか否かを検討する際の対比として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)994 / 裁判年月日: 昭和37年8月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭借用証書の形式で作成された書面であっても、実質が他人の債務に対する重畳的債務引受およびその担保のための抵当権設定であれば、当該実態に基づいて権利義務関係を判断すべきである。訴訟手続において、控訴の不適法に関する抗弁が撤回された場合には、裁判所はその適否について判断を要しない。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和25(オ)104 / 裁判年月日: 昭和25年10月24日 / 結論: 棄却
登記されない抵当権であつても、当事者間においては、権利実行の要件を備えるかぎり、競売法の規定するところに従い、抵当権の実行による競売手続を有効に行い得るものである。
事件番号: 昭和34(オ)321 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: その他
貸金債務担保のために債務者所有の不動産に抵当権設定登記がなされた後、債務者においていつたん右債務の元利金を弁済し、さらに翌日同一債権者より同一金額を、弁済期の点以外はすべて旧債務と同一の条件で借り受け、これが担保として同一不動産につき抵当権を設定し、当事者間の合意によつて、旧債務についてなされてあつた前記抵当権設定登記…
事件番号: 昭和33(オ)1036 / 裁判年月日: 昭和34年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】抵当不動産の競売において、売却条件の瑕疵や代金の廉価性、事後の弁済猶予合意等の事情があっても、競落許可決定が確定し代金が納入された後は、所有権移転の効力は妨げられない。 第1 事案の概要:上告人は、抵当不動産の競売手続において、競落許可決定が確定し代金が納入された後に、①売却条件に瑕疵があること、…