登記官吏は、当該申請書および附属書類について登記申請が形式上の要件を具備するかどうかの形式的審査をすることができるにとどまり、その登記事項が真実であるかどうかにつき実質的審査をする権限を有するものではない。
登記官吏の権限。
不動産登記法49条
判旨
登記官には、登記申請が形式上の要件を具備しているかを審査する権限(形式的審査権)のみが認められ、登記事項の真実性を審査する権限(実質的審査権)はない。
問題の所在(論点)
不動産登記の申請を受けた登記官に対し、申請内容が真実であるか否かまでを確認すべき「実質的審査権」が認められるか。
規範
登記官の審査権限は、登記申請書及びその附属書類に基づき、申請が不動産登記法等の定める形式上の要件を具備しているか否かを判断する「形式的審査権」に限られる。登記事項が実体法上の権利関係と一致するかといった「実質的審査」を行う権限は有しない。
重要事実
上告人は、本件の登記処分において登記官が実体的な真実性を審査せずに登記を行ったことは違法であると主張した。原審は、登記官の権限は形式的審査に留まるとして上告を棄却したため、上告人が最高裁に判断を求めたものである。
あてはめ
本件各登記申請は、不動産登記法及び同法施行規則に定める形式上の要件を具備していた。登記官には実質的審査権がない以上、形式的要件を満たしている以上は当該登記処分を行うべきであり、実体的な真実性に関する事情の有無は登記処分の適法性に影響を及ぼさない。
結論
登記官が形式的要件の具備を確認して行った登記処分に不当または違法はなく、実質的審査を行わなかったとしても違法ではない。
実務上の射程
不動産登記制度における登記官の権限の限界を示す基本判例である。行政法上の「審査請求」や「国家賠償請求」において、登記官の注意義務違反を論ずる際の前提となる(形式的審査を尽くしていれば原則として過失は否定される)。
事件番号: 昭和27(オ)533 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁による「承認」が、国民の権利義務を直接的に形成し、またはその範囲を確定する効果を有しない場合には、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、行政庁が行った特定の「承認」について、その違法を理由に取消訴訟を提起した。しかし、当該承認行為が国民の…