借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は借地法第四条第二項による建物等買取請求権を有しない。
債務不履行による土地賃貸借契約解除と建物等買取請求権の有無。
借地法4条
判旨
借地法4条2項(現・借地借家法13条1項)に基づく建物買取請求権は、借地人の債務不履行により土地賃貸借が解除された場合には認められない。
問題の所在(論点)
借地権が期間満了ではなく、賃料不払等の債務不履行を理由とする解除によって終了した場合において、借地人に建物買取請求権(借地法4条2項、現・借地借家法13条1項)が認められるか。
規範
借地法4条2項(現・借地借家法13条1項)の規定は、誠実な借地人を保護するための趣旨である。したがって、借地人の債務不履行を理由として土地賃貸借契約が解除された場合には、借地人は同条項に基づく建物買取請求権を行使することはできないと解するのが相当である。
重要事実
本件において、土地の賃借人(借地人)は賃料の支払を怠り、賃貸借契約が継続困難な状態にあった。賃貸人は、賃料不払を理由として賃貸借契約の解除の意思表示を行い、契約は終了した。これに対し、借地人は借地法4条2項に基づき、地上に存在する建物の買取請求権を主張し、その代金支払を求めた。
事件番号: 昭和35(オ)946 / 裁判年月日: 昭和37年6月26日 / 結論: 棄却
借地人の債務不履行により土地賃貸借契約が解除された場合には、借地人は借地法第四条第二項の規定による地上建物の買取請求権を有しない。(昭和三五年二月九日第三小法廷判決、民集一四巻一〇八頁参照)
あてはめ
借地法4条2項が買取請求権を認めたのは、社会経済的観点から建物の取壊しを防止するとともに、誠実な借地人の投下資本回収を保護するためである。しかし、賃料不払という債務不履行により契約を終了させた借地人は、法の予定する「誠実な借地人」には当たらない。本件では、賃料不払を条件とする契約解除の意思表示が認められており、かかる債務不履行解除を前提とする以上、同条項による保護を与えるべきではない。
結論
借地人の債務不履行による土地賃貸借の解除の場合、借地人は建物買取請求権を有しない。
実務上の射程
本判決は、借地人の債務不履行による終了を理由に建物買取請求権を否定する確立した先例である。借地借家法13条1項、14条、及び建物賃貸借における同法33条(造作買取請求権)の解釈においても、同様に債務不履行解除の場合には請求権が否定されるという射程を持つ。答案上は、買取請求の要件検討に際し、「誠実な借地人の保護」という法の趣旨から債務不履行解除の場合を排除する理由として簡潔に記述する。
事件番号: 昭和39(オ)177 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
土地賃貸人が賃借人の賃料不払と無断転貸の二重の理由により賃貸借契約を解除したときは、賃借人より地上建物を買受けた者は、建物買取請求権を行使することができない。
事件番号: 昭和32(オ)260 / 裁判年月日: 昭和33年4月8日 / 結論: 棄却
第三者が、賃借土地の上に存する建物の所有権を取得した場合において、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に賃貸借が賃料不払のため解除されたときは、借地法第一〇条に基く第三者の建物買取請求権は、これによつて消滅するものと解すべきである。
事件番号: 昭和42(オ)430 / 裁判年月日: 昭和42年8月24日 / 結論: 棄却
第三者が賃借土地上の建物を取得した場合でも、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しないうちに土地賃貸借契約が賃料不払により解除されたときは、第三者は建物買取請求権を有しない。
事件番号: 昭和38(オ)1179 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地上の建物を取得した第三者が建物買取請求権を行使する際、既に賃借人の債務不履行(賃料不払)により土地賃貸借契約が解除されている場合には、当該第三者は買取請求権を行使できない。 第1 事案の概要:上告人(第三者)は、借地上の建物を取得し、賃貸人に対して建物買取請求権を行使しようとした。しかし、その…