数個の間接事実をそう合して主要事実を認定した場合、右間接事実の一につき適法な証拠にもとづかないで事実を認定した違法があつても、残余の間接事実により前記主要事実が認定できる以上、右違法は民訴第三九四条にいわゆる判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背にあたらない。
民訴第三九四条にいわゆる判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背にあたらないとされた一事例
民訴法394条
判旨
建物建築の請負契約において、注文者が請負報酬を完済し、請負人が注文者の資金を得て工事を進行・完成させた場合、建物の所有権は完成とともに注文者に帰属する。また、登記名義人は、真正の所有者に対してその所有権の公示に協力する義務を負うため、所有権移転登記請求に応じるべきである。
問題の所在(論点)
請負契約により建築された建物の原始的帰属先が注文者と請負人のいずれになるか。また、真正の所有者は登記名義人に対し、所有権移転登記を請求できるか。
規範
建物建築工事において、注文者が請負報酬の支払をなし、請負人がその資金によって建築を進行させこれを完成させた場合には、当該建物は完成と同時に注文者の所有に帰属する。また、不動産の登記名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき(登記を移転すべき)実体法上の義務を負う。
重要事実
被控訴人(注文者)は昭和16年、D(請負人)に対し工費2万円で本件家屋の建築を請負わせた。被控訴人は家屋の完成に先立ち、将来の所有名義をDとするが被控訴人の請求によりいつでも名義を移す旨の契約書を作成した。被控訴人は工費に加え追加費用も支払って報酬を完済し、Dは被控訴人からの資金を得て工事を進行し本件家屋を完成させた。その後、D名義で新築届や敷地賃借がなされ、D死亡後はその相続人である控訴人が管理を行っていたが、被控訴人が控訴人に対し所有権移転登記を求めて提訴した。
あてはめ
本件では、被控訴人が建築届を出し、Dに建築を請負わせている。Dが工事を進行させる過程で、被控訴人は請負報酬を完済しており、Dは被控訴人から得た報酬を原資として建築を続行し家屋を完成させたといえる。このように注文者が工費の全額を負担している実態に鑑みれば、家屋は完成とともに注文者である被控訴人の所有になったと解される。そして、現登記名義人(またはその承継人)である控訴人は、真正の所有者である被控訴人に対し、所有権の公示に協力すべき義務を負うため、登記移転義務を免れない。
結論
本件家屋の所有権は完成と同時に注文者(被控訴人)に帰属する。したがって、真正の所有者である被控訴人は、登記名義人である控訴人に対し、所有権移転登記を請求することが認められる。
実務上の射程
特約がない場合の建物所有権の原始取得に関するリーディングケース。請負人が材料を提供した場合であっても、注文者が報酬を完済している等の事情があれば注文者に帰属することを認める判断枠組みとして、所有権移転登記請求権の根拠(公示協力義務)とともに、物権法・事務管理・請負の分野で活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)1060 / 裁判年月日: 昭和33年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産物権の得喪変更について争いがある場合、一方の主張と合致する登記が存在するからといって、直ちに実体上の権利関係の存在が推定されるわけではない。 第1 事案の概要:建物の所有権取得を主張する上告人と、それを争う相手方との間で、当該建物の所有権の帰属が問題となった。上告人の主張と合致する所有権取得…
事件番号: 昭和28(オ)582 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建築途中の未完成建物を賃借し、賃借人が造作を施して完成させた場合、賃貸借終了時に造作部分を無償で賃貸人に譲渡する合意があれば、完成した建物全体の所有権は賃貸人に帰属する。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)と賃借人(上告人)は、屋根が野地板の状態、壁は抜きのみ、床板も一部のみで、畳や建具も入って…