控訴裁判所も民訴法第五四八条所定の裁判をすることができる。
控訴裁判所における民訴法第五四八条所定の裁判の許否。
民訴法548条
判旨
控訴審裁判所は、言渡後直ちに強制執行を続行させることが適当であると判断する場合、第一審がなした暫定的な強制執行停止決定を取り消すことができる。
問題の所在(論点)
控訴審裁判所において、第一審が発した強制執行停止決定を取り消すことができるか。また、証拠に基づき譲渡行為の不存在を認定することが弁論主義や経験則に反するか。
規範
第一審裁判所がなした強制執行停止決定は本案判決確定に至るまでの暫定的効力を有するものであるが、控訴審判決の言渡後直ちに強制執行を続行させることが適当であるときは、控訴審裁判所も旧民事訴訟法548条(現行民事執行法等に関連)所定の裁判として、当該停止決定を取り消すことができる。
重要事実
上告人と訴外Dとの間の物品譲渡に関し、第一審が強制執行停止決定を認可していた事案において、控訴審(原審)は当該譲渡行為の存在自体を否定し、上告人の請求を棄却するとともに、第一審の強制執行停止決定を取り消した。これに対し上告人が、控訴審には停止決定を取り消す権限がない旨、および認定に違法がある旨を主張して上告した。
あてはめ
強制執行停止決定は本案確定までの暫定的な措置に過ぎない。控訴審が本案判決を言い渡す際、直ちに執行を続行させるのが適当であれば、その前提となる停止決定を排除する必要があるため、控訴審にも取消権限が認められる。また、原審は譲渡行為を推認させる証拠がないと判断したのであり、虚偽表示の成立を認定したわけではないため、主張のない事実に基づく判決(弁論主義違反)には当たらない。
結論
控訴審裁判所は強制執行停止決定を取り消すことができ、また原審の事実認定に法令違反はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
民事執行手続における暫定的処分の取り扱いに関する判断。答案上は、控訴審の権限として、本案判決に伴い従前の執行停止措置を解消し、迅速な権利実現を図る実務上の妥当性を説明する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)1140 / 裁判年月日: 昭和34年8月28日 / 結論: 棄却
有体動産に対する占有権は、差押によつて失われるものではないからその動産の占有改定による引渡は、差押の存続する間、差押債権者に対抗できないにとどまるものと解すべきである。
事件番号: 昭和32(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和34年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実審において主張立証されなかった事実は、上告審において新たに主張することは許されず、裁判所がそれに基づき判断しなくても違法ではない。 第1 事案の概要:上告人は、本件強制執行の債務名義である公正証書記載の債務が、通謀虚偽表示(民法94条1項)や錯誤(同法95条)に基づく無効なものであると主張し、…