正当事由による解約申入に基いて賃貸家屋の明渡を命ずる判決が確定した後その正当事由が消滅しても、これによつて従前の賃貸借が当然復活し、または明渡請求権が当然消滅するものではない。
解約申入に基く賃貸家屋明渡の判決確定後における正当事由の消滅と従前の賃貸借に及ぼす効力
借家法1条ノ2,民訴法545条
判旨
賃貸借契約の解約申入れに正当事由があるとして明渡しを命じる判決が確定した後は、その後に正当事由が消滅したとしても、従前の賃貸借関係が当然に復活したり明渡請求権が消滅したりすることはない。
問題の所在(論点)
解約申入れの正当事由を認めて明渡しを命じる判決が確定した後、その正当事由が消滅した場合に、終了した賃貸借契約が当然に復活するか、または確定判決に基づく明渡請求権が当然に消滅するか。
規範
借地借家法に基づく解約申入れ(旧借家法1条の2)の正当事由が認められ、これに基づく解約を有効とする確定判決がなされた場合、当該判決の確定によって賃貸借契約の終了は確定的なものとなる。したがって、その後に正当事由を基礎づけていた事実関係が変動し、当該事由が消滅したとしても、一度終了した賃貸借関係が当然に復活することはなく、確定判決に基づく明渡請求権も当然には消滅しない。
重要事実
上告人(賃借人)に対し、賃貸人が借家法1条の2(当時)に定める正当事由をもって解約申入れを行い、これに基づく建物の明渡しを命じる判決が確定した。しかし、判決確定後、正当事由の判断の基礎となった事情に変化が生じ、当該事由が消滅した。そこで上告人は、正当事由の消滅により賃貸借関係が復活した、あるいは明渡請求権が消滅したと主張して争った。
あてはめ
本件では、正当事由が存在し解約申入れが有効である旨の判決が既に確定している。この確定判決は、口頭弁論終結時における解約の有効性を公的に確定したものである。その後、仮に正当事由を支えていた具体的要件が欠けるに至ったとしても、それは確定判決後の事情の変化にすぎない。法的事実として一度成立した解約の効果を当然に覆す根拠はなく、契約関係の復活や請求権の消滅を認めることはできないと解される。
結論
従前の賃貸借が当然に復活し、または明渡請求権が当然消滅するものではない。上告棄却。
実務上の射程
建物の明渡請求に関する確定判決の既判力および執行力の持続性を確認したものである。賃借人側が判決後の事情変更を理由に請求異議の訴え等で抗弁する際の限界を示す。正当事由の判断基準時(通常は解約申出時から判決時まで)以降の事情変化は、特段の事情がない限り、既判力によって確定した終了の効果を左右しないという実務上の原則を支える。
事件番号: 昭和51(オ)633 / 裁判年月日: 昭和51年12月17日 / 結論: 棄却
訴訟上の和解によつて、建物の賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは賃貸借契約は当然解除となる旨の定めがされた場合においても、賃料の延滞が一か月分であり、賃借人は、和解成立後賃貸人から賃料の受領を拒絶されるまで、約二年間右一か月分を除いては毎月の賃料を期日に支払つており、右延滞もなんらかの手違いによるものであつて賃…