定置漁業免許の存続期間を一定期間に変更することを求める訴は許されない。
定置漁業免許の存続期間を一定期間に変更することを求める訴の適否
漁業法21条,行政事件訴訟特例法1条
判旨
行政庁の裁量に委ねられた処分について、裁判所が一定の内容に変更することを求める訴えは、行政庁の裁量権を侵すものであり不適法である。
問題の所在(論点)
行政庁に裁量が認められる処分(漁業権の存続期間の設定)に対し、その内容の変更を求める訴えは適法か。義務付け訴訟や形成の訴えの適否(司法権の限界)が問題となる。
規範
行政処分において、行政庁が諸般の事情を勘案して決定すべき裁量権を有する場合、裁判所がその処分内容を一定の期間や内容に変更することを求める訴えは、行政庁の裁量権の範囲に立ち入るものであり、司法権の限界を超え許されない。
重要事実
鹿児島県知事が上告人に対し定置漁業権を免許する際、漁業法21条5項に基づき存続期間を約1年10か月とした。これに対し、上告人は同法21条1項が定める原則的な期間である5年に基づき、存続期間を昭和34年10月31日までとするよう変更を求めて提訴した。
あてはめ
事件番号: 昭和31(オ)154 / 裁判年月日: 昭和31年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が手続上の違法を理由に取り消された場合、判決の拘束力は当該手続不備を是正すべき点にのみ及び、処分の実体的内容まで拘束するものではない。また、漁業権のように排他的権利の付与を目的とする処分において、他者への免許が有効に存続する以上、重ねて他人に免許を付与することはできない。 第1 事案の概要…
漁業法21条5項は「漁業調整のため必要な限度」で期間短縮を認めており、期間の設定は知事の裁量に属する。定置漁業の目的達成が事実上不可能なほどの極端な期間設定は裁量権の逸脱として違法となり得るが、本件のように一定の期間への変更を求めることは、裁判所が自ら裁量判断を行うことに等しく、行政権と司法権の分立に反する。
結論
本件訴えは、行政庁の裁量権の範囲に立ち入ることを求めるものであり、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
行政事件訴訟法施行前の判例であるが、現在の義務付け訴訟(行訴法3条6項)や取消訴訟の制度下においても、裁量処分に対して「特定の処分」を裁判所が直接形成・決定することの制限(司法権の謙抑性)を示す重要な先例として機能する。
事件番号: 昭和27(オ)1145 / 裁判年月日: 昭和29年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政事件訴訟における執行停止の要件等について、原審の判断を正当として上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人が、行政事件訴訟特例法(当時)2条但書の解釈等について不服を申し立て、原判決の破棄を求めて最高裁判所に上告した事案。 第2 問題の所在(論点):行政事件訴訟特例法2条但書の解釈お…
事件番号: 昭和25(オ)221 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正後の同法第六条の二第二項各号に該当する場合は、右改正前の同法附則第二項による農地買収計画も違法である。