一 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による借地権設定に関する裁判は憲法第三二条、第八二条に違反しない。 二 裁判上の和解は確定判決と同一の効力を有し既判力を有するものと解すべきである。 三 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による裁判については、それが実質的理由によつて賃借権設定申立を却下する裁判であつても、その既判力を否定すべきではない。 (少数意見がある)
一 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による借地権設定に関する裁判の合憲性 二 裁判上の和解と既判力 三 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による裁判と既判力
罹災都市借地借家臨時処理法15条,罹災都市借地借家臨時処理法18条,罹災都市借地借家臨時処理法25条,非訟事件手続法,憲法32条,憲法82条,民訴法203条,民訴法199条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法に基づく借地権設定の裁判は、実質的に新たな法律関係を形成する非訟事件であり、これに既判力を認めることは憲法32条及び82条に違反しない。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法15条に基づく借地権設定の裁判を非訟事件手続によらしめることが、憲法32条(裁判を受ける権利)および82条(対審・判決の公開)に違反しないか。また、同法25条により同裁判に既判力を認めることが許されるか。
規範
私権に関する裁判をいかなる手続によらしめるかは、事件の種類・性質に応じて、憲法の許す範囲内において立法により定め得る。既存の法律関係の争いを審判するのではなく、実質的に新たな法律関係の形成に裁判所が関与する非訟事件については、非訟事件手続法により公開・対審・判決の形式をとらない手続であっても、裁判官の公正が保障され、当事者に主張・立証の機会が与えられている限り、憲法32条・82条が要請する適正な手続として認められる。また、法律が当該裁判に裁判上の和解と同一の効力を付与している場合、これに既判力を認めることも、憲法上の裁判を受ける権利を奪うものではない。
重要事実
上告人は、罹災都市借地借家臨時処理法に基づき、被上告人に対し疎開跡地の優先的な借地権設定を申し出た。しかし、被上告人がこれを拒絶したため、同法15条に基づき借地権設定および条件確定の申立てをしたが、裁判所は「拒絶に正当な事由がある」として実質的理由により申立てを却下し、その決定は確定した。その後、上告人は同一の事実を請求原因として、別途民事訴訟で借地権の確認等を求めて本訴を提起した。
あてはめ
処理法15条の裁判は、既存の法律関係の存否を確定するものではなく、土地について権利を有しなかった罹災者等に対し、新たに借地権を設定・形成する性質を有する。このような形成的な事案は性質上非訟事件に適しており、迅速な処理が必要とされる罹災地の復興という立法目的に照らし、非訟事件手続によらしめたことは合理的である。非訟手続であっても、民事訴訟法の準用により当事者の主張・立証の機会が保障されており、適正な手続といえる。さらに、同法25条が「裁判上の和解と同一の効力」を認め、確定判決と同様の既判力を付与していることも、制度の創設的・形成的性格から合理的な解釈であり、上告人の裁判を受ける権利を不当に奪うものではない。
結論
本件申立却下の決定には既判力があり、これと同一の事実を理由とする本訴請求は、既判力の抵触により排斥されるのが正当である。したがって、原判決に違憲または法の解釈を誤った違法はない。
実務上の射程
司法試験においては、訴訟事件と非訟事件の区別(憲法32条・82条の射程)および既判力の限界を論じる際の有力な判例となる。実質的形成作用を含む事件については、立法政策による非訟手続化と既判力の付与が広く認められる傾向を示すものである。
事件番号: 昭和29(ヤ)9 / 裁判年月日: 昭和33年3月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて主張された判断遺脱の事由について、確定判決が必要な判断を行っている場合には再審事由に当たらない。また、その他の主張が法定の再審事由に該当しない場合には、再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、所論の各判決において判断遺脱があること、およびその他の事由を…
事件番号: 昭和34(ク)84 / 裁判年月日: 昭和37年1月22日 / 結論: 棄却
上告理由書を原裁判所に提出せしめ、提出期間徒過の場合に原審において上告却下の裁判をすることは、憲法第三二条に違反しない。