数個の恐喝罪と一個の暴行罪(懲役刑選択)とを併合加重するにあたつては、何れの罪が最も重いかを明示説明しなくても、必ずしも違法でない。
数個の恐喝罪と暴行罪(懲役刑選撰)とを併合加重する場合の法令適用の判示方
刑法249条,刑法208条,刑法45条,刑法47条,刑法10条,刑訴法335条
判旨
併合罪の関係にある数個の罪について刑を科す際、いずれの罪が最も重いかを明示せずに併合加重を行っても、直ちに理由不備の違法とはならない。
問題の所在(論点)
併合罪(刑法45条前段)について、同法47条に基づき刑を科す場合、判決において「最も重い罪」がどれであるかを明示する必要があるか。明示がない場合に理由不備(刑事訴訟法378条4号)の違法が生じるかが問題となる。
規範
刑法47条の併合罪加重において、数個の罪の法定刑が同一である場合や比較が容易である場合には、判決文においていずれの罪が最も重いかを具体的に明示・説明しなくても、適法に併合加重を行うことができる。
重要事実
被告人が数個の恐喝罪および暴行罪に問われた事案において、原審は恐喝罪の刑と暴行罪の刑を併合加重したが、その際、いずれの罪が最も重いものであるかを明示しなかった。弁護人は、この点が理由不備にあたるとして上告した。
あてはめ
本件において、恐喝罪の刑と暴行罪の懲役刑を比較すると、前者が重いことは明らかである。また、複数の恐喝罪が成立している場合、それらの罪の重さが同等であれば、特段の明示がなくても併合加重のプロセスに誤りがあるとはいえない。したがって、最も重い罪を具体的に指し示さずに加重を行っても、判決の論理に不備があるとは解されない。
結論
数個の罪のうち、いずれの罪が最も重いかを明示説明しないで併合加重しても、必ずしも違法とはいえない。
実務上の射程
併合罪加重の手続きに関する形式的要件の緩和を示す。実務上、主文や理由中で『重い○罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で』と記載することが一般的であるが、明白な場合にはその特定のプロセスを簡略化しても適法性が維持されることを示す。もっとも、実務上は争いを避けるため特定するのが通例である。
事件番号: 昭和26(れ)2212 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書において量刑の基礎となる法定刑の選択および加重の根拠が示されている場合、法令の適用の示し方に違法はない。 第1 事案の概要:本件は旧刑訴法から新刑訴法への移行期における審判の特例が問題となった事件である。被告人側は、原判決の法令の適用の示し方や量刑の基礎となる法定刑の選択および加重の根拠に違…
事件番号: 昭和27(あ)5210 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張・判断されていない第一審の訴訟手続違背を上告理由とすることはできず、また、事実誤認を前提とした憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し控訴したが、控訴審判決後、上告審において新たに第一審の訴訟手続に違反がある旨を主…
事件番号: 昭和26(あ)5087 / 裁判年月日: 昭和27年4月8日 / 結論: 棄却
「被告人は賭博恐喝等の前科数犯あり、その乾分数名と無為徒食し常に粗暴なる言動ある為世人の嫌忌畏怖して居るに乗じ恐喝せんことを企て」なる起訴状の記載は、恐喝罪の構成要件たる事実であるから、これを起訴状に記載したことは違法ではない(昭和二六年(あ)第二一四四号同年一二月一八日当裁判所決定、昭和二五年(あ)第一〇八九号同二七…