公判廷外における被告人の自白の任意性の有無の調査は、必ずしも証人の取調によるの要なく、裁判所が適当と認める方法によつてこれを行うことができる。
自白の任意性の調査方法
刑訴法322条,刑訴法325条
判旨
裁判所は、被告人側が申請した証人の全てを尋問する義務を負わず、不要な証人を取り調べないことは憲法37条2項に反しない。また、供述調書の任意性の調査は裁判所が適当と認める方法で行うことができ、必ずしも証人尋問による必要はない。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人の申請した証人を取り調べないことが憲法37条2項(証人喚問権)に違反するか。また、供述調書の任意性を調査するにあたり、必ず証人尋問の方法によらなければならないか。
規範
1. 憲法37条2項は、裁判所に対し、被告人または弁護人が申請した証人のうち、不必要と思われる者まで悉く尋問しなければならない義務を課すものではない。2. 供述調書の任意性の調査は、裁判所が適当と認める方法によって行うことができ、必ずしも証人の取調べによって認定する必要はない。
重要事実
被告人A、D、Eらの刑事事件において、被告人側の弁護人は相被告人Bの供述調書の任意性を争い、複数の証人尋問を申請した。第一審裁判所は、当該供述調書の任意性調査のために警察署の刑事主任Cを証人として取り調べたが、弁護人が申請したその他の各証人については「必要ない」と判断して取り調べを行わなかった。これに対し被告人側は、証人喚問権の侵害(憲法37条2項違反)および黙秘権侵害(同38条1項違反)を理由に上告した。
事件番号: 昭和26(あ)1657 / 裁判年月日: 昭和28年2月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は裁判所が申請された証人を悉く尋問すべき義務を課すものではなく、また司法警察員に対する被告人の供述調書の任意性調査は裁判所が適当と認める方法で行うことができる。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反等の罪で起訴された。第一審において、弁護人は司法警察員に対する被告人の供述…
あてはめ
本件では、第一審裁判所が供述調書の任意性について既に刑事主任Cの証人尋問を実施している。その上で、裁判所が他の申請証人を「必要ない」と認めて取り調べなかった措置は、適当な方法による任意性調査の範囲内であり、裁判所の合理的な裁量に属する。記録上、被告人らが威力等により意思に反して不利益な供述を余儀なくされた事実は認められないため、証人尋問を限定した判断は正当である。
結論
被告人側の申請した証人の一部を不必要として取り調べなかった原審の判断は正当であり、憲法37条2項および38条1項には違反しない。
実務上の射程
証人採用の裁量が裁判所に帰属することを明示した判例であり、刑事訴訟法295条の証人尋問制限の合憲的根拠として活用できる。特に、証拠能力の前提となる「任意性」の調査手法について、自由な証明(または適当な調査方法)が許容されることを示唆する点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和26(あ)2657 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が証拠とすることに同意した供述調書を証拠とすることは、憲法37条2項の証人尋問権に反せず、刑事訴訟法326条は憲法の趣旨に適合する適法な規定である。 第1 事案の概要:被告人AおよびEに対し、検察官作成の供述調書(B、C、Dの各供述)が証拠として提出された。第一審の公判廷において、被告人およ…