鉄砲火薬類取締法施行規則第四五条の規定は、昭和二二年法律第七二号「日本告憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第一条により昭和二三年一月一日以降は国法としての効力を失つたものである。
鉄砲火薬類取締法施行規則第四五条と昭和二二年法律第七二号「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第一条
憲法98条1項,鉄砲火薬類取締法(明治43年法律53号)14条,鉄砲火薬類取締法施行規則22条,鉄砲火薬類取締法施行規則45条,「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」(昭和22年法律72号)1条,命令ノ条項違反ニ関スル罰則ノ件(昭和23年法律84号)
判旨
法律の具体的な委任を欠く罰則を定めた命令は、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和22年法律第72号)1条に基づき、昭和22年12月31日をもって失効する。これにより、失効後の判決時には、刑罰法規が廃止されたものとして免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
法律の具体的な委任に基づかずに罰則を定めた旧憲法下の命令は、日本国憲法施行後、いつまで効力を有するか。また、その失効後に判決を下す場合、いかなる措置を講ずべきか。
規範
憲法73条6号但書によれば、政令(命令)には法律の具体的な委任がなければ罰則を設けることができない。したがって、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令のうち、「法律を以て規定すべき事項」(罰則等)を規定するものは、昭和22年法律第72号1条により、昭和22年12月31日までは法律と同一の効力を有するが、それ以降は具体的な個別委任がない限り失効する。
重要事実
被告人は、昭和21年7月から昭和22年1月にかけて火薬類を所持した。適用された銃砲火薬類取締法施行規則45条は、明治23年法律84号という広範かつ概括的な委任に基づき、命令である施行規則に罰則を設けたものであった。一審判決は昭和22年7月になされたが、控訴審判決は昭和23年7月になされ、施行規則45条の効力が昭和23年1月以降も持続するかが争点となった。
事件番号: 昭和26(れ)4 / 裁判年月日: 昭和27年12月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】法律の失効により処罰規定が効力を失った場合、刑法6条の「犯罪後の法律により刑の変更があったとき」に該当し、刑事訴訟法に基づき免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和21年8月頃から翌22年11月までの間、許可を受けずにダイナマイト等の爆発物を自宅付近に隠匿所持した。原審は、これ…
あてはめ
銃砲火薬類取締法14条2号は、火薬類の取扱について命令で定める旨を規定するが、罰則を命令に委任する旨の具体的な規定を欠いている。施行規則45条の根拠となった明治23年法律84号は、包括的・概括的な委任にすぎず、新憲法下では許容されない。したがって、当該罰則規定は昭和22年法律第72号1条にいう「法律を以て規定すべき事項」を定める命令に該当し、昭和22年12月31日の経過により失効したといえる。これにより、原判決(昭和23年7月)時点では刑罰法規は存在せず、「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」(旧刑訴法363条2号)に該当すると評価される。
結論
本件罰則規定は昭和23年1月1日以降、国法としての効力を失う。したがって、原判決は免訴を言い渡すべきであり、有罪とした原判決は破棄を免れない。被告人を免訴とする。
実務上の射程
白紙委任・概括的委任の禁止(罪刑法定主義)が、旧憲法下の法令の効力継続にどう影響するかを示す基準となる。答案上は、命令による罰則制定が憲法73条6号但書に反する場合の効力喪失時期と、その刑事訴訟法上の効果(免訴)を論ずる際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和24(れ)1257 / 裁判年月日: 昭和27年12月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】犯罪後の法令により罰条が失効した場合には、刑事訴訟法第337条第2号(旧刑訴法第363条第2号)にいう「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当し、被告人を免訴すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和22年8月22日頃、法定の資格がないにもかかわらず自宅でダイナマイト19本および緩燃導…
事件番号: 昭和24(れ)1128 / 裁判年月日: 昭和29年9月8日 / 結論: その他
銃砲火薬類取締法施行規則第四五条の規定は、昭和二二年法律第七二号「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第一条により昭和二三年一月一日以降は国法としての効力を失つたものである。
事件番号: 昭和26(れ)2350 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧銃砲等所持禁止令が憲法に違反しないことは判例の確立したところであり、また昭和22年法律第72号1条の2の規定に照らし、同令が昭和22年12月31日をもって当然に失効することはない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲等の所持禁止に抵触する行為を行い、旧銃砲等所持禁止令(および銃砲刀剣類等所持取締令附…
事件番号: 昭和24(れ)1128 / 裁判年月日: 昭和29年9月8日 / 結論: 棄却
原審で同一法令違反の罪につき共同審理のもとに有罪判決を受け、ともに上告の申立をした共同被告人の一人が、旧刑訴第四二三条所定の期間内に上告趣意書を提出しなかつたときは、他の上告申立人については既に国法としての効力を失つた右法令を適用した違法があることを理由として原判決を破棄すべき場合でも、右上告趣意書を提出しなかつた上告…