一 物価統制令第四〇条によつて法人の代表者、従業員等が同条に定められた違反行為をなした結果、法人が処罰せらるゝ場合には、代表者、従業員等が無罪であれば、法人も責を負わないことは理の当然である。 二 物価統制令第四〇条により法人が代表者の行為について責に任ずる場合に代表者の行為が連続一罪の関係にある以上、法人も連続一罪として処断をうくべきである。
一 法人の代表者らが法人の業務に関してなした行為につき無罪の場合と法人の罪責 二 物価統制令第四〇条により法人を処罰する場合における適用法条
物価統制令40条,刑法55条(旧)
判旨
両罰規定により法人が処罰される場合、法人は行為者(代表者・従業員等)と同一の罪責を負う。したがって、行為者が無罪であれば法人も責を負わず、行為者の行為が連続一罪と解される場合には法人に対する処断も一罪として扱われるべきである。
問題の所在(論点)
両罰規定に基づき法人が処罰される場合において、(1)行為者が無罪であるときでも法人の罪を問えるか、(2)行為者が連続一罪(旧刑法55条)とされる場合でも法人を併合罪として処断できるか。
規範
物価統制令40条のような両罰規定に基づき法人が処罰されるのは、法人の代表者や従業員等が業務に関して違反行為をなした結果、法人がその者と同一の罪責を負うからである。ゆえに、法人の罪責は行為者の罪責と連動し、行為者が無罪であれば法人は処罰されず、行為者の罪数が一罪であれば法人も一罪として処断される。
重要事実
被告会社Bの代表取締役A、および常務取締役Eが物価統制令違反等に問われた。原審は、Eの行為について犯罪の証明がないとして無罪を言い渡しながら、B会社に対してはEの行為に関する物価統制令違反について無罪の主文を欠いていた。また、Aの複数の違反行為を「犯意継続」による連続一罪と認定して処断しながら、B会社に対してはこれを併合罪として罰金刑を併科した。
あてはめ
(1)両罰規定による法人の処罰は、代表者等の違反行為を前提として、その者と同一の罪責を負わせるものである。したがって、行為者であるEが無罪である以上、B会社も当該行為について責を負わない。原判決が主文でB会社に無罪を言い渡さなかったのは違法である。(2)代表者Aの行為が連続一罪の関係にある以上、B会社が負う罪責もまた連続一罪として評価されるべきである。これを併合罪として罰金刑を併科した原判決の擬律は誤りである。
結論
行為者が無罪であれば法人は処罰されず、行為者の罪数が一罪として評価される場合には、連坐する法人もまた一罪として処断されるべきである。
実務上の射程
法人の処罰が「行為者の存在」を前提とする従属性を認めた点に射程がある。もっとも、近時の判例・実務では、法人の過失(選任監督上の過失)を根拠に法人の独自の罪責を認める傾向があるが、行為者の構成要件該当性が否定される場合にまで法人の処罰を認めるものではないため、本判決の論理は依然として重要である。
事件番号: 昭和25(れ)871 / 裁判年月日: 昭和25年12月5日 / 結論: 破棄自判
論旨は営利の観念は専ら専業経営において収益を挙げることを指称するもので一般人が単に利益を図つてなす契約はこれと区別して解すべきであるから物価統制令にいう「営利を目的として」された行為とならないと主張するが物価統制令に「所謂営利を目的として契約を為す」とは利益を得る目的を以て為されたことを意味すると解せられ必ずしも事業経…