刑法上の贈賄罪は、それが町議会の議長選挙に関して犯された場合であつても、公職選挙法一一条一項四号にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」にあたらない。
刑法上の贈賄罪が町議会の議長選挙に関して犯された場合と公職選挙法一一条一項四号にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙投票及び国民審査に関する犯罪」
公職選挙法11条1項,刑法198条
判旨
刑法上の贈賄罪は、たとえ町議会の議長選挙に関して犯されたものであっても、公職選挙法11条1項4号に規定される「法律で定めるところにより行なわれる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」には該当しない。
問題の所在(論点)
町議会の議長選挙に関して犯された刑法上の贈賄罪が、公職選挙法11条1項4号(当時)にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」に該当し、選挙権等の欠格事由となるか。
規範
公職選挙法11条1項4号にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」とは、公職選挙法が直接規律する公職の選挙等に関する犯罪を指し、地方自治法に基づき議会内部で行われる議長選挙に関する刑法上の贈賄罪はこれに含まれない。
重要事実
上告人は、町議会の議長選挙に関連して刑法上の贈賄罪を犯した。これにより、公職選挙法11条1項4号(現行11条1項3号)に該当するとして、選挙権及び被選挙権の停止といった欠格事由の有無が争点となった。上告人は、当該贈賄罪が「法律で定めるところにより行なわれる選挙に関する犯罪」に該当すると判断した原審を不服として上告した。
あてはめ
刑法上の贈賄罪は、公務の純潔性を保護法益とする一般的犯罪である。これに対し、公職選挙法11条1項4号が定める欠格事由としての選挙犯罪は、民主主義の根幹をなす公職選挙の公正を直接害する犯罪を予定している。町議会の議長選挙は地方自治法に基づいて行われる議会内部の選挙であり、一般有権者が参加する公職選挙法上の「選挙」とは性質を異にする。したがって、当該贈賄罪を「法律で定めるところにより行なわれる選挙に関する犯罪」と解釈し、公選法上の欠格事由を適用することはできない。
結論
町議会の議長選挙に関する贈賄罪は公職選挙法11条1項4号に該当しない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
選挙権・被選挙権という基本権を制限する規定(欠格条項)の解釈において、文言を限定的に解釈し、類推解釈や拡張解釈を否定する姿勢を示す。行政法・公職選挙法上の資格制限の範囲を画定する際の判断基準として活用できる。
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