願書に添付した明細書又は図面の記載を複数箇所にわたつて訂正することを求める訂正審判の請求において、右訂正が実用新案登録請求の範囲に実質的影響を及ぼすものである場合には、複数の訂正箇所の全部につき一体として訂正を許すか許さないかの審決をしなければならず、たとえ客観的には複数の訂正箇所のうちの一部が他の部分と技術的にみて一体不可分の関係になく、かつ、右の一部の訂正を許すことが請求人にとつて実益のあるときであつても、その箇所についてのみ訂正を許す審決をすることはできない。
訂正審判において一部の訂正を許す審決をすることの可否
実用新案法39条
判旨
訂正審判の請求は、複数の訂正箇所がある場合でも原則として一体不可分の一個の請求であり、一部の訂正のみを認める審決をすることはできない。
問題の所在(論点)
訂正審判の請求において、複数の訂正箇所が含まれる場合に、その一部のみについて訂正の許否を判断し、審決を一部取り消すことが認められるか。訂正審判の目的物の単一性が問題となる。
規範
実用新案法(特許法)に基づく訂正審判の請求は、誤記の訂正等の形式的な場合を除き、複数の訂正箇所がある場合でも、それらを一体不可分の一個の訂正事項として請求しているものと解すべきである。したがって、請求人が補正により一部の訂正を求める趣旨を明示しない限り、全箇所につき一体として許否を決すべきであり、一部の箇所のみを許す審決をすることは許されない。
重要事実
実用新案権者である被上告人は、明細書の請求の範囲等について、目録(1)ないし(8)の複数箇所の訂正を求める訂正審判を請求した。特許庁が請求不成立の審決をしたため、被上告人がその取消しを求めたところ、原審は(1)(8)の訂正は認められないが、(2)ないし(7)の訂正は適法であり、かつ(1)(8)と不可分でもないとして、審決のうち(2)ないし(7)に関する部分のみを取り消した。
あてはめ
被上告人は目録(1)ないし(8)の一体的な訂正を求めており、個別の箇所を独立した請求とする趣旨を明示していない。本件訂正は登録請求の範囲に実質的影響を及ぼすものであるから、たとえ(2)ないし(7)の部分が技術的に他と分離可能であり、かつ被上告人に訂正の利益があるとしても、請求全体を一個のものとして扱うべきである。したがって、一部のみを適法として審決を一部取り消した原審の判断は、訂正審判の不可分性に反する。
結論
訂正審判の請求は一個不可分であり、一部判決をすることはできない。原判決を全部破棄し、差戻しを命ずる。
実務上の射程
訂正審判(特許法126条等)における「一個の訂正請求」の単位に関する重要判例である。答案上は、審決取消訴訟において裁判所が一部の訂正事項のみを維持・取消しすることの可否を論じる際の根拠となる。ただし、後の法改正により訂正の単位(群)が明文化されている点には留意が必要だが、請求の不可分性という基本原理として依然重要である。
事件番号: 昭和37(オ)953 / 裁判年月日: 昭和38年12月5日 / 結論: 棄却
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