裁判所が選挙管理委員会の委員長のした不在者投票事由の存否の認定の当否を判断するにあたつては、選挙人の提出した宣誓書等の書面の記載のほか、選挙人の不在者投票事由に関する口頭説明の内容をもあわせ考慮することを要し、口頭説明の内容が宣誓書等の書面の記載の程度を出ないものであるなど口頭説明の内容を考慮しないことを相当とするような特段の事情がないのに、宣誓書等の書面の記載のみによつて右の判断をした場合には、審理不尽の違法がある。
選挙管理委員会の委員長のした不在者投票事由の存否の認定の当否に関する裁判所の判断に審理不尽の違法があるとされる場合
民訴法394条,公職選挙法49条,公職選挙法施行令52条,公職選挙法施行令53条1項
判旨
不在者投票事由の存否を裁判所が判断するにあたっては、宣誓書等の書面のみならず、口頭説明の内容をも併せて考慮すべきであり、特段の事情なく書面のみで判断することは審理不尽にあたる。
問題の所在(論点)
不在者投票の事由を認定する際、選挙人が提出する宣誓書等の書面の記載のみによって判断すべきか。また、裁判所が選管の認定の当否を審査する際の判断枠組みが問題となる。
規範
選管委員長による不在者投票事由の認定の当否を裁判所が判断するにあたっては、宣誓書等の書面の記載に加え、選挙人による口頭説明の内容をも併せて考慮することを要する。ただし、口頭説明の内容が書面の記載と同程度に留まるなど、口頭説明を考慮しないことを相当とする「特段の事情」がある場合はこの限りではない。
重要事実
町議会議員選挙において投じられた19票の不在者投票について、不在者投票事由(公職選挙法49条1項各号)の有無が争われた。原審は、選挙人が提出した請求兼宣誓書の記載内容のみに基づき、町選管委員長による不在者投票事由の認定が誤りであると判断した。しかし、証拠によれば、選管側は書面のみならず口頭説明をも併せて考慮して認定を行っていた実態があった。
事件番号: 昭和41(行ツ)59 / 裁判年月日: 昭和41年12月6日 / 結論: 棄却
一 不在者投票手続における投票の立会人は、当該市町村の選挙人名簿に登録された者一名のみで足りる。 二 不在者投票管理者が不在者投票を直ちにその選挙人の属する投票区の投票管理者に送致しなかつたとしても、それが投票所閉鎖時刻までに送致されている以上、選挙の効力に影響しない。 三 選挙人名簿に多数の無資格者が誤載されていたと…
あてはめ
不在者投票事由の申立ては必ずしも書面を要せず、口頭による補足説明も妨げられない。また、宣誓書の本旨は申立てが真正であることを誓う点にあり、事由を完全に記載させることまでを要求するものではない。本件では、選管側が口頭説明をも併せて考慮して認定を行っていたことが証言からうかがえる。それにもかかわらず、原審が口頭説明の内容を考慮しないことを相当とする「特段の事情」を説示せず、書面の記載のみをもって選管の認定を誤りとした点は、考慮すべき要素を欠いた判断といえる。
結論
原審の判断には審理不尽の違法があり、結論に影響を及ぼすことが明らかであるため、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
選挙無効訴訟等において、不在者投票の手続的瑕疵(特に投票事由の欠如)を争う際の立証・判断の在り方を示す。答案上は、行政庁の認定の適法性を審査する際、書面主義を厳格に解さず、実態としての疎明(口頭説明等)も含めた総合判断を求める規範として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)750 / 裁判年月日: 昭和32年11月7日 / 結論: 棄却
一 投票立会人が代理投票を補助し立会人が法定数を欠いても、一般の投票立会人としての監視に差支えを生じなかつた場合は選挙を無効とすべきではない。 二 町選挙管理委員会委員長が町長職務執行者代理者の承認を得て町職員に選挙事務を依頼した場合に、右職員の不在者投票事由証明書は町長職務執行代理者が作成しても違法ではない。
事件番号: 昭和30(オ)540 / 裁判年月日: 昭和30年11月25日 / 結論: 棄却
公職選挙法施行令第三四条に「選挙人」とあるのは、投票所に投票のため来た一般選挙人を指すのであつて、投票立会人のごとき選挙事務の管理に関与する者を含まない。
事件番号: 昭和32(オ)708 / 裁判年月日: 昭和32年10月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙手続に法令違反がある場合であっても、それが選挙の結果に異動を及ぼすおそれがないときには、当該選挙は無効とはならない。投票箱の空虚確認漏れ等の手続上の瑕疵は、実質的に公正が担保されていれば選挙無効の原因を構成しない。 第1 事案の概要:村議会議員選挙において、複数の手続上の問題が指摘された。具体…