主債務について債務免除を定めた更生計画の認可決定があつた場合には、更生手続参加により中断していた保証債務の消滅時効は、右認可決定が確定した時から更に進行を開始する。
主債務について債務免除を定めた更生計画の認可決定があつた場合と更生手続参加により中断していた保証債務の消滅時効の進行開始の時期
民法157条1項,会社更生法5条,会社更生法236条,会社更生法240条2項
判旨
更生手続参加による時効中断の効力は保証債務にも及び、更生計画認可決定の確定時までその中断の効力が維持され、消滅時効はそれまで進行を始めない。
問題の所在(論点)
更生手続参加による時効中断の効力が保証債務に及ぶか。また、更生計画認可決定がなされた場合、その中断の効力はいつまで維持されるか。
規範
更生手続参加は、更生債権者等の権利行使としての実質を有するため、主たる債務の時効を中断させ、その効力は保証債務にも及ぶ(民法458条、旧会社更生法5条)。この中断の効力は、更生手続における権利行使が続いている限り維持される。更生計画で債務免除が定められた場合、債務は認可決定時に消滅したとされるが、その法的効果が確定するのは認可決定の確定時であるため、この時点をもって権利行使が終了し、時効が新たに進行を始める。
重要事実
債権者が、更生会社である主債務者に対し、更生手続参加(債権届出等)を行った。その後、更生手続において債務の免除を含む更生計画案が作成され、これに対する更生計画認可決定がなされた。本件では、この認可決定の確定時よりも前に保証債務の消滅時効が完成したかどうかが争点となった。
あてはめ
まず、更生手続参加は債権者の権利行使であるから、時効中断の効力を生じ、連帯保証債務等の保証債務にもその効力が波及する。次に、中断の効力の終期について検討するに、更生計画認可決定により債務消滅の効果が生じるものの、その効果の確定には決定の確定が必要である。したがって、認可決定の確定時までは「権利行使が続いている」と評価できる。よって、当該確定時までは保証債務の消滅時効は進行を再開しないと解するのが相当である。
結論
更生手続参加による保証債務の時効中断の効力は、更生計画認可決定の確定時まで維持される。
実務上の射程
会社更生法(現行法158条等)下における時効中断(更新)の範囲と終期を明確にした判例である。民法改正後の「時効の更新」の議論においても、裁判上の請求に準ずる手続としての性質上、手続終了時まで更新の効果が継続する点の解釈指針として重要である。
事件番号: 昭和46(オ)74 / 裁判年月日: 昭和47年3月21日 / 結論: 棄却
債権者のする破産宣告の申立は、債権の消滅時効の中断事由たる裁判上の請求にあたる。