一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在は、同法四八条に基づくいわゆる勧告審決を取り消すべき原因とはならない。 二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟には、同法八〇条、八一条、八二条一号の適用はない。 三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟については、審決の認定事実は、裁判所を拘束しない。
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在と同法四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消原因 二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟と同法八〇条、八一条、八二条一号の適用 三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟と審決の認定事実の裁判所に対する拘束力
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律25条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82条1号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)26条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)48条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)81条
判旨
勧告審決は、名宛人の自由な意思に基づく勧告応諾を要件とするため、違反行為の存在の認定を要件とせず、違反行為の不存在は取消事由とならない。また、勧告審決における事実認定は裁判所を法律上拘束するものではない。
問題の所在(論点)
独占禁止法48条(当時)に基づく勧告審決において、違反行為の存在が審決の要件となるか。また、違反行為の不存在が取消事由となるか、および裁判所に対する拘束力(実質的証拠の原則の適用)があるか。
規範
勧告審決制度は、法の目的を簡易迅速に実現するため、名宛人の自由な意思に基づく応諾を唯一の要件として、審判手続を経ずに排除措置を命ずるものである。したがって、公正取引委員会による違反行為の存在の認定は要件ではなく、違反行為の存否は勧告審決の適否に影響を及ぼさない。また、独占禁止法80条等の実質的証拠の原則は審判審決にのみ適用され、勧告審決には適用されないため、裁判所に対する法律上の拘束力も有しない(ただし、事実上の推定が働くことは否定されない)。
重要事実
公正取引委員会は、上告人に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限等)があるとして排除措置を採るよう勧告した。上告人がこの勧告を応諾したため、委員会は勧告と同趣旨の排除措置を命ずる勧告審決を行った。しかし、上告人は後に、違反行為が存在しないことや、応諾の意思表示に錯誤があったこと、審決が実質的証拠に基づかないこと等を理由として、当該審決の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
勧告審決は、審判手続による証拠調べを前提とする「審判審決」や、事実を自認する「同意審決」とは異なり、応諾という形式的要件に基づき発せられる。審決書に記載される事実は、排除措置の対象を特定するためのものであり、実質的な認定を意味しない。したがって、仮に勧告の基礎となった事実に誤りがあっても、応諾がなされた以上、審決自体の違法事由とはならない。また、法80条等の規定は審判手続を前提とするため勧告審決には適用されず、裁判所が違反行為の存否を判断する際に法律上拘束されることもない。なお、上告人が主張する錯誤については、単なる動機の錯誤にすぎず、相手方に表示もされていないため、応諾の意思表示を無効とする要素の錯誤とは認められない。
結論
違反行為の不存在は勧告審決の取消事由とはならず、また勧告審決は違反行為の存在につき裁判所を法律上拘束するものでもない。上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
行政法における「行政行為の形式と実質」や、独占禁止法上の審決の効力を論ずる際の重要判例である。特に、勧告審決(現行法の合意解決制度等との対比で重要)が「応諾」という同意を基礎とする以上、実体的な違反の存否を争うことはできないという「禁反言」的な法的性格を明確にしている。答案上は、実質的証拠の原則の適用範囲や、民事訴訟(26条の無過失責任等)への影響を論じる際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和46(行ツ)66 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四八条に基づくいわゆる勧告審決は、その名宛人以外の第三者に対し、これを拘束したり、その認定にかかる行為が同法違反の行為であることを確定したり、右審決に基づくその名宛人の行為を正当化したりするなどの法律的影響を及ぼすものではない。 二、外国事業者とわが国内事業者間の商品の継…