一 不当景品類及び不当表示防止法一〇条六項にいう「第一項の規定による公正取引委員会の処分について不服があるもの」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。 二 不当景品類及び不当表示防止法の規定にいう一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定に対し同法一〇条六項の規定に基づく不服申立をする法律上の利益を有するとはいえない。
一 不当景品及び不当表示防止法一〇条六にいう「第一項の規定による公正取引委員会の処分について不服があるもの」の意義 二 不当景品類及び不当表示防止法の規定にいう一般消費者と公正取引委員会による公正競争規約の認定に対する同法一〇条六項に基づく不服申立の利益
不当景品類及び不当表示防止法1条,不当景品類及び不当表示防止法4条,不当景品類及び不当表示防止法10条1項,不当景品類及び不当表示防止法10条2項,不当景品類及び不当表示防止法10条6項
判旨
不当景品類及び不当表示防止法に基づく公正競争規約の認定に対する不服申立権者は、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に限られる。一般消費者が同法によって受ける利益は、公益保護の結果生ずる反射的利益にすぎず、原告適格(法律上の利益)は認められない。
問題の所在(論点)
景表法10条6項にいう、公正取引委員会の処分について「不服がある者」(不服申立権者/原告適格)の意義。特に、同法1条が掲げる「一般消費者の利益」が、個々の消費者の「法律上保護された利益」といえるか。
規範
行政上の不服申立をすることができる「法律上の利益がある者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。ここにいう「法律上保護された利益」とは、行政法規が私人等の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益を指し、専ら公益の実現を目的とする法規の制約の結果としてたまたま受ける「反射的利益」とは区別される。
重要事実
公正取引委員会が、景表法10条1項に基づき「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」を認定した。これに対し、ジュース等の一般消費者である原告らが、規約の内容が不十分であり、不当な表示によって商品選択の権利等が侵害されるとして、景表法10条6項に基づく不服申立(審判請求)を行った。しかし、公正取引委員会は原告らに不服申立の適格がないとしてこれを却下したため、原告らがその審決の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
景表法は、独占禁止法の特例として公正な競争秩序の維持という公益の実現を主眼とするものである。同法1条の「一般消費者の利益の保護」も公益保護の一環にすぎず、個々の消費者が受ける利益は、法の適正な運用を通じて国民一般が享受する抽象的・平均的・一般的な利益にとどまる。したがって、一般消費者の利益は公益に完全に包摂されており、規約の認定によって個々の消費者の法律上の地位に直接の影響を及ぼすものではない。原告らが主張する「商品を正しく特定する権利」等も、公益保護の結果生じる反射的利益にすぎないといえる。
結論
一般消費者は、公正競争規約の認定に対し不服申立をする「法律上の利益をもつ者」には当たらない。したがって、原告らの請求は棄却される。
実務上の射程
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」の解釈(原告適格)におけるリーディングケースである。「法律上保護された利益」と「反射的利益」を区別する枠組みを示しており、答案上は、根拠法規が「公益」のみを目的とするのか、それとも「個人の個別的利益」をも保護する目的があるのかを検討する際の基準として用いる。
事件番号: 昭和50(行ツ)112 / 裁判年月日: 昭和53年4月4日 / 結論: 棄却
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在は、同法四八条に基づくいわゆる勧告審決を取り消すべき原因とはならない。 二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決…