全国新幹線鉄道整備法九条に基づく運輸大臣の工事実施計画の認可は、抗告訴訟の対象とならない。
全国新幹線鉄道整備法九条に基づく運輸大臣の工事実施計画の認可と抗告訴訟の対象
全国新幹線鉄道整備法9条1項,行政事件訴訟法3条1項
判旨
運輸大臣が日本鉄道建設公団に対して行う工事実施計画の認可は、上級機関による下級機関への監督手段としての承認の性質を有し、外部に対する効力や国民の権利義務を直接形成する効果を欠くため、行政処分に当たらない。
問題の所在(論点)
上級行政機関が下級行政機関(またはそれに準ずる公法的法人)に対して行う「計画の認可」が、行政事件訴訟法上の「処分」(処分性)を有するか。
規範
行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。行政機関相互の行為にすぎず、外部に対する効力を有しないものは、行政処分には該当しない。
重要事実
運輸大臣(当時)が、下級行政機関に準ずる性格を持つD建設公団(日本鉄道建設公団)に対し、同公団が作成した新幹線鉄道の工事実施計画について、整備計画との整合性等を審査して認可(本件認可)を与えた。これに対し、沿線住民等が認可の取り消しを求めて抗告訴訟を提起した。
あてはめ
本件認可は、上級行政機関としての運輸大臣が下級行政機関としての公団に対し、計画の整備計画との整合性等を審査してなす「監督手段としての承認」の性質を有する。これは実質的に行政機関相互の行為と同視すべきものであり、行政組織内部の意思決定プロセスに留まる。したがって、当該認可そのものが外部に対して効力を有するものではなく、国民の権利義務を直接形成し、またはその範囲を確定する効果を伴うものではないといえる。
結論
本件認可は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
実務上の射程
内部的な監督行為や、公法上の法人に対する上級官庁の同意・承認には原則として処分性が認められないことを示す。ただし、後の判例(小田急高架訴訟等)では、事業認可等がその後の収用等の法的効果の前提となる場合に処分性を認める傾向があり、本判決の射程は「純粋に組織内部的な監督手段」に限定して理解すべきである。
事件番号: 昭和50(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和50年8月6日 / 結論: 棄却
都市計画法に基づき土地区画整理事業に関して都道府県知事のした都市計画決定は、抗告訴訟の対象とならない。
事件番号: 平成17(行ヒ)397 / 裁判年月日: 平成20年9月10日 / 結論: 破棄自判
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)
事件番号: 昭和46(行ツ)63 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
住宅地区改良事業の事業計画の認可は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。