債権者から保証人に対する保証債務履行請求訴訟における保証人敗訴の判決が確定した後に債権者から主債務者に対する主債務履行請求訴訟における主債務者勝訴の判決が確定しても、主債務者勝訴の判決が保証債務履行請求訴訟の事実審口頭弁論終結の時までに生じた事由に基づいてされているときは、保証人は、右の主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることはできない。
保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定した場合と保証人敗訴の確定判決に対する請求異議
民訴法199条1項,民訴法201条1項,民訴法545条,民法448条
判旨
保証人敗訴の確定判決後、主債務者勝訴の判決が確定した場合でも、その勝訴理由が保証人敗訴判決の口頭弁論終結後の事由でない限り、保証人は主債務者勝訴判決を援用して請求異議を主張することはできない。
問題の所在(論点)
保証人敗訴の確定判決後に、主債務の不存在を理由とする主債務者勝訴の確定判決が出た場合、保証人は当該主債務者勝訴判決(附従性)を「口頭弁論終結後に生じた異議の事由」として援用できるか。
規範
1. 主債務者勝訴の確定判決の既判力は保証人に拡張されない。2. 保証人は、主債務者勝訴判決を援用しうるとしても、それは民事執行法35条2項(旧民訴法545条2項)の制限を受ける。3. すなわち、主債務者勝訴の理由が保証人敗訴判決の事実審口頭弁論終結前に生じた事由に基づく場合、これを援用して請求異議の訴えを提起することは、既判力の遮断効により許されない。
重要事実
債権者である被上告人が、主債務者Dの相続人らと連帯保証人である上告人に対し訴えを提起した。上告人は請求を認めたため、弁論が分離され、上告人(保証人)敗訴の判決が先に確定した。その後、相続人ら(主債務者側)に対する訴訟では主債務の成立自体が否定され、被上告人敗訴(主債務者勝訴)の判決が確定した。これを受け、上告人が連帯保証債務の附従性を理由に、自己に対する確定判決の執行力排除を求めて請求異議の訴えを提起した。
あてはめ
本件における主債務者勝訴の理由は「主債務の不成立」であり、これは保証人敗訴判決の事実審口頭弁論終結時までに既に発生していた事由である。保証人は、前訴の既判力の効力として、口頭弁論終結時までに提出できたはずの事実(主債務の不存在)に基づいて債権者の権利を争うことは、遮断効により禁止される。主債務者勝訴判決の援用を認めることは、実質的に遮断された事由による再度の争いを許容することと同義であり、判決の確定力を損なうため認められない。
結論
上告人は主債務者勝訴の確定判決を援用して請求異議を主張することはできず、請求を棄却した原審の判断は正当である。
実務上の射程
既判力の相対性の原則を確認しつつ、保証債務の附従性よりも前訴判決の既判力(遮断効)を優先させた射程の長い判例である。答案では、既判力の拡張(民訴法115条1項各号)が否定されること、および遮断効による異議事由の制限(民執法35条2項)を論じる際の決定的な根拠となる。
事件番号: 昭和37(オ)1191 / 裁判年月日: 昭和40年12月21日 / 結論: 棄却
確定判決が第三者を害する意図のもとに当事者の通謀により裁判所を欺罔して取得されたものであるとしても、右事実の存在を理由に、請求異議の訴をもつて前記確定判決の執行力の排除を求めることは許されない。